車いすママも普通のママ 100cmの視界から―あまはいくまはい―(24)

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 子どもが保育園に通い始めて、4年目。入園したてのとき、先生や保護者は、車いすの私にどう接していいのかわからず、不安だったようです。私が動くと、みんなの視線が私の方へ集まり、緊張感がありました。子どもたちは車いすが珍しいので、すぐに寄ってくるのですが、先生は私の移動を心配し、「どいて」と子どもたちを注意することも多かったです。

 私は一人の親として見てもらえるよう、回りに積極的に話し掛けるようにしました。「先生の靴下かわいいですね」「〇〇くんと一緒に遊んだ、と息子が話していました」などなど。クラスの保護者で先生方へプレゼントをする時は、選ぶ係を率先して引き受けました。そうやって少しずつ普通の会話ができるようになり、4年目の今では私への特別な視線はなくなり、自然なあいさつができます。私が子どもの横を通っても、注意する人はいません。保護者同士のおしゃべりも弾みます。


こんなに大きくなった子どもたち。もう車いすに私の座るスペースがありません、笑

 私はいつもヘルパーさんと一緒に、保育園のお迎えに行きます。総勢10人のヘルパーさんがいるので、「何人家族なの?」「お母さんが何人いるの?」と聞いてくる友だちもいました。今では、ヘルパーさんがいるのが当たり前で、ヘルパーさんの名前も覚えてくれる友だちもいます。

 ヘルパー制度について興味を持ってくれるママ友もいて、「私は1日約10時間、ヘルパーの力を借りて、家事、育児をこなしている」こと、「障害者自立支援法では、ヘルパーのサービスに育児支援があり、一緒に育児ができる」という話もします。ママ友の紹介で、新しいヘルパーさんも入ってくれるようになりました。

 我が子の保育園で、車いすママの存在が馴染(なじ)んでいるのが本当にありがたいです。当たり前のようですが、車いすユーザーにはなかなか得られない、居心地のいいこの環境がうれしいです。

 しかし息子は来月から、転園して新しい幼稚園に行くことになりました。はじめは先生や保護者の不自然な視線が待ち受けているのかと思うと、気持ちが重いです。でも子どもたちはどんな時でも、「なにこれ?」と車いすに寄ってくるだろうし、「なんで小さいの?」と私に聞いてくるでしょう。普通の子育てとはちょっと違う私の子育て。そして助けが必要なことが多くて、大変なこともありますが、だからこそ人と繋(つな)がれます。ちょっぴり気が重い新しい出会いも、楽しめるといいです。そして車いすママも、普通のママだということを知ってもらいたいです。



(次回は29日に掲載します)


伊是名夏子

 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2018 年5月1 5日 琉球新報掲載)

 



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