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車いすでも最高の旅に 100cmの視界から―あまはいくまはい―(25)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 高校の友だち4人で、宮崎県・高千穂に行ってきました! 知り合ってもうすぐ20年。気を遣わずにのんびりリラックス、始終笑いが止まらない、最高の友だちとの旅。感謝の気持ちでいっぱいです。

 名所のお城や、大自然では、車いすでは行きづらいところもあります。ある程度下調べをし、その情報と、私のやりたい方法を友だちに伝えます。今回は「この宿に泊まりたいんだけど、館内が狭くて車いすが使いづらいみたい。抱っこをお願いできる?」「車移動がいいんだけど、ドライバーできる?」などなど。自分ができないこと、不安なことは、事前に共有して、できる人にお願いします。宿探しや航空券の手配は私の得意分野なので、ちゃちゃっと済ませます。

高千穂峡の大自然!バリアフリー展望台から滝も見れました!

 旅行中、私は紅茶やハーブティーが好きなので、オススメを何種類も持って行き、ひとやすみには率先してお茶を入れます。私ができることは少しだけ、しかも私がやりたいことが主です。でもそれはきっと友だちも一緒で、私の車いすを押していても、途中でトイレに行きたくなったら私は待つし、私の抱っこもみんなで交代交代です。階段だらけで足元が危ないところには、あえて私も行きたくないので、友だちだけで行ってもらいます。またアレルギーがある友だちには特別メニューを注文します。お互いがやりたいこと、できることをして、無理なことは伝える。それが自然とできると、違いがあっても最高の旅に!

 ただ、私の抱っこや車いすを押したりと、人手がいることが多いので、できるだけたくさんの人に頼るようにしています。私も十分に楽しむため、大好きな、気の合う人をチョイスします。「これはあなたと一緒に行きたいの」とストレートに伝えると、相手も喜んでくれることが多く、ありがたいです。

 しかし帰りにプチトラブル。夫にバス停まで迎えをお願いしていたのですが、バス停に着いても誰もいないのです。自分でどうにかバスから降り、運転手さんに荷物と車いすを降ろしてもらいました。少しして夫が来たので、私が「バスから降りるのも手伝ってほしかった!」と言うと「そっか、そうだよねー」の一言。

 10年以上一緒にいるパートナーにも、やってもらいたいことを細かく伝えなければいけないのかと、がっかりしたのですが、子どもたちを3日間見てくれたので、それ以上は怒れません。

 やりたいことを具体的に考えて、助けてくれる友だちがいれば、車いすでも最高の旅に! 来年もまた行きたいです。

(次回は6月12日に掲載します)

伊是名夏子

 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2018 年5月29日 琉球新報掲載)