「なんくるないさ」だけではいけない 山川穂高さん(埼玉西武ライオンズ)


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 スポーツ、芸能、文化で活躍する県出身者にそれぞれの100年後の展望を聞いた。そこからは、 「平和」「文化の継承」や「島の風景は変わらずに」「当たり前を大切に」といったキーワードが見えてきた。変わってほしくない沖縄、新たな沖縄─。皆さんの100年後に残したい夢は何ですか?

やっぱり、平和な戦争の無い沖縄でいてほしいですね。沖縄戦のことは小さいころから教わってきましたからね。100年後も沖縄が沖縄らしくあればいいと思います。

野球の点では、沖縄にプロ野球チームができていたら面白いと思います。北海道や埼玉みたいに人が多いわけではないので、人が集まるかどうか分からないけれど、球場が近い所だと間近にプロ野球選手が見られるから、いい環境ですよね。

今日も球場に子どもたちがたくさん来ていたけれど、沖縄に住んでいた人間にとってプロ野球選手というのは、テレビの世界の人という感じなので、もう少し身近になればいいのかなと思います。

沖縄の人に伝えたいことなんですが、沖縄出身でプロ野球選手で活躍している人は少ないと言われています。私は高校まで沖縄で生活して大学で岩手に行って、そしてプロになりました。そのなかで、大きな違いを感じるのは「沖縄人」の性格ですよね。関西の方などはすごいメンタルなどが強いです。

沖縄人はまず、そこに負けてしまうのかな。野球のうまさとか技術というのは練習すればいくらでもうまくなるんです。

いま、沖縄には良い指導者がたくさんいるし、高校野球も強いし、なのに、どうやって差が付くのかというと、大学や社会人・プロなどに進んだ時にそのメンタルの差が出てしまうのではないかと考えます。

沖縄の心を忘れているわけではありませんが、いまの〝弱いメンタルの〟沖縄人のままではいけないと思います。「なんくるないさ」ではいけないんです。

沖縄はゆったりして、優しくて、周りがいつでも助けてくれるという雰囲気ですよね。もちろんそれが悪いわけではないんですが、勝負の世界に入った時には誰も助けてくれないぞというのを知ってほしいんです。子どもたちにはまだ早い話かもしれないけれどね。

よく、沖縄でプロ野球選手になるためにどうしたらいいかと聞かれるんですけれど、これだけは練習あるのみ。誰も見ていない時にどれだけやるか、ということだと思います。まだ、自分は指導者ではありませんが、実践あるのみです。