災害時のデマ拡散NO! 救える命を守るため私たちにできること モバプリの知っ得![60]


この記事を書いた人 仲程 路恵

6月18日朝、大阪北部を中心に最大震度6弱を観測した地震が発生し、5人の方が亡くなり、約400人の方が怪我をしました。

2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震と、近年大型の地震が複数発生していますが、その度にネット上を中心に「デマ」が流布されます。

今回の大阪北部地震でも「京セラドーム大阪に亀裂が入った」「シマウマが脱走した」などのデマがツイッターに投稿され、拡散されました。

こうしたデマが広がることで、情報が錯綜する被災地に「ムダ」を届けることになりますし、本来必要とされる救助の邪魔をする可能性もあるため、本当に害悪です。

さらには「外国人が犯罪をしている」「外国人が犯罪を計画している」と言った、差別デマも繰り返されています。

こうしたデマは、被災地の不安をあおり、「犯罪者」とされる外国の人を被災地で孤立させる懸念がありますし、さらには、「外国人許さん」と息巻いた自警団から暴力を振るわれる可能性もあります。

被災地の救助をスムーズにし、1日も早い復興を実現させるためにも、非被災地の人たちは、いつも以上に冷静になり、間違った情報を広げない必要があります。

繰り返される「差別」デマ

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「朝鮮人が暴動を起こしている」

これは、100年前の関東大震災の時に広まった差別デマです。

このデマを信じた人たちが自警団を結成し、朝鮮人を襲撃して殺害しています。これが「関東大震災朝鮮人虐殺事件」です。

この事件では朝鮮人に誤認された中国人、標準語がうまく話せなかった沖縄出身者なども犠牲になっています。

こうした「外国人差別デマ」は災害時・平時を問わず、定期的に繰り返されます。

例えば、「乾燥海産物の臭いをかがせ失神させ、拉致し、臓器売買されます。中国から来た新しい犯罪です」としたデマが沖縄・長崎などで流布しました。

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また、2018年2月に発生した台湾地震の時には「◯◯に募金すると北朝鮮へお金が送られる」「◯◯に募金すると(香港のタレント)アグネスチャンが大半を消費する」などのデマが流布しています。

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100年前の関東大震災も、第二次大戦中にナチスドイツが行なったホロコーストも、1994年に発生したルワンダの虐殺も、こうした民族差別デマが原因の1つとなっています。差別デマは、ジェノサイド(民族虐殺)へとつながるのです。

2018年5月にはインドで、「子供を誘拐する組織のメンバーだ」とのデマが広がり、怒った人たちが暴行を加え6人が亡くなる事件が発生しています。 

暴行を加えられたほとんどは、ただ「他の地域の人」だっただけです。まさに外国人差別デマの末路と考えられます。

「SNSのうわさ信じるな」インドでリンチ殺人続発、警察が注意喚起
https://www.jiji.com/jc/article?k=20180601037216a&g=afp

こうしたデマを拡散させる一人一人は「デマだったとしても、警戒することに越したことはないから…」と、軽い気持ちでやっているのでしょう。

しかしながら、自分たちが安心したい一心で行なっているその行為で、他の誰かの安心を奪い、混乱を招く。

災害時ともなれば、その混乱、影響は大きくなるでしょう。

ネット・スマホ・SNSが発達し、情報伝達スピードも飛躍的に向上しました。しかしながら100年前からある民族差別デマが、ずっと繰り返されているのも事実です。

結局、どれだけテクノロジーが発達しても、使う私たちが歴史から学び、正しい情報かどうかを見極めなければいけません。

普段からデマを拡散させているような人が、災害などの混乱時に正しい情報を見極められるはずがありません。

自分が被災した時に助かれるよう、そして被災した人たちを救えるよう、情報を見極めることがなぜ大事か、このタイミングだからこそ考えてみましょう。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」6月24日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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