沖縄美人(17)文字に命を吹き込む筆文字アーティスト・田場珠翠さんの原点に迫る

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命を吹き込まれ、生き生きと躍動する“文字”たち-。国内外を舞台に幅広く活動する筆文字アーティストの田場珠翠(たば・しゅすい)さん(40歳)。自分らしく生きることに真摯に向き合い続ける彼女の原点に迫りました。

◇記事と写真:朱瞳碧晃(ビューティーライター、フォトグラファー




人生を変えた出来事は?


筆文字アーティストになる前は、あるドラマの女医役姿に憧れ、ウコン研究員として働いていました。異質な経歴ですよね。

転機を迎えたのは23・24歳のころ。自分にできることは何か、自分にしかできないことを探したいと思い一念発起。書道を極めるため、滋賀県にある書の専門学校へ進学しました。

私の家族は、父がペン字、母が書道、きょうだいも書道をたしなみ、私自身も3歳から習っていました。家族共通の話題といえば「書」のこと。身近に良き理解者がいることで自分の可能性が広がったように思います。

とはいえ、周囲からは「今から学校に通うの?」と笑われたこともありました。でもこの先、同じ10年を過ごすなら自分のやりたいことをしようと思ったんです。

専門学校での1年間は、書の知識や歴史を学び、まさに書道漬けの毎日でした。寮生活を共にしながら同じ思いで書に打ち込む書友(しょゆう)がいたからこそ、めげずにやってこれました。



気づきは宝もの


鏡(かがみ)という言葉から「が」を抜いたら「かみ」ですよね。だから、神社の神棚に鏡があるのは「自分を見つめ直しなさい」「自分と向き合いなさい」という意味だと捉えています。物事を良くも悪くもできるのは自分次第…。

だから、沖縄に戻ってからもアルバイトを掛け持ちしながら、最高段位取得のため学び続けていましたが、その苦しい時期を踏ん張れたのも切磋琢磨できる友の存在が大きかった。モノという字は、「物」と「者」の二つしかありません。資格が「物」で、会えたのが人「者」でした。それが私の「宝もの」です。



コンプレックスが「笑」文字を生み出した


実は私、生まれつき右耳が難聴です。幼少期のコンプレックスから学生の頃は悩んだ時期もあり、人前では心から笑えない自分がいた。2008年のある日、書道の展示会場での親子の会話。子どもが「読めないよね」と言っているのを耳にして…。「誰もが読めて楽しめる作品や書道展をやろう」。自分のやりたいことが見つかった瞬間でした。

その思いで「笑」の文字を自然と書いていました。その後も漢字が元々持って生まれた意味を調べ、イメージを書き綴っていくと文字が眉や目に見えてきて絵のような筆文字作品「笑」が生まれたんです。過去のコンプレックスから解放された時間でもありました。

たまたま私の左側にいたから聞こえた子どもの一言。そのおかげで、自分のスタイルを見つけ、今の「筆文字アーティスト」活動につながっています。



漢字の魅力を伝えたい

筆文字作品をつくる際は、文字の語源を調べて、そのイメージを書き上げていくのですが、私は毛筆を筋肉、硬筆を骨格と捉えています。どこに筋肉をつけるかで動きが変わり、書体が変わっていくのです。そのうちに1文字1文字が一人の個人のように、熟語は家族や友人、文章は社会全体のように見えてきます。そう考えると、物事の見方が変わってきて面白い。

さらに、漢字は、何千年も使われ続けていること自体すごいこと。時代が変わっても必要とされているからこそ残っています。その魅力を伝えたい。

現在は、筆文字アーティストとして、自分の好きなことが仕事になっています。「仕事」という字は、誰かに仕えることを意味しています。お客様の気持ちを、漢字を通して伝えることが使命だと思っています。




思いをカタチに創り続ける


筆文字パフォーマンスライブでは「紙」と「神」をかけて、祈りをしてから「礼に始まり、礼に終わる」のが私のスタイルです。

私は、インクは青色をベースに、ほうきやハケを筆として使っています。以前、胎児のエコー写真をヒントに、子どもの顔、形ができあがっていく姿をイメージし命の誕生というこだわりから、自分の髪の毛の筆で「誕」を書上げました。

筆文字作品は、私の分身だと考えています。しかし、筆文字作品について「こんなの書じゃない」と否定もされたこともあります。でも自分のスタイルをもっている人は常に批判がつきまといます。人は人、自分は自分と受け止めることにしています。


例えば、「盛」。お「皿」を人とのご縁と例えると、皿と更をかけて、更に「成」功しようと捉えています。人とのご縁は出会いがあれば別れもあります。その出会いの全てが成長につながります。生まれてくるときの環境は選べませんが、その後の生き方は自分自身で選べます。人との出会いを通して、自分がどう成長していくか、どう成功していくのかだと思います。

また、成長・成功の捉え方は人それぞれですが、私は「成功は1つ1つのステージで階段と同じ。1歩1歩自分らしく生きていくことが成功」だと思っています。だからこそ、日々を真剣に自分らしく素直に、ありのままでいたいですね。



ハッピーでいるためにしていることは?


“弾丸旅行”を楽しむことです(笑)。自分をニュートラルにするため、自然からエネルギーをもらっています。沖縄だと普天間神宮の洞窟が神秘的で好きです。木に触れるのも好き。「木」と「気」。音の響きから、木に触れるだけでパワーがもらえるように思えます。そのため神社にもよく出掛けます。

年始旅行では行く先々の神社で、大吉が出るまでおみくじを引くことです。MAXで4回引いたことも(笑)。そして大吉おみくじの効果を信じて1年間持ち歩いています。



座右の銘は?


「EARTH」(地球)です。地球は一つ。「人との絆」という言葉からひらめきました。

EARTHのスペルは、Hを一番前にもってくると、HEART(心)になります。この言葉に気付いてから、自分なりの答えというか、基軸、基盤が見つかったように思います。EARTHのスペルの中には、ART(アート)も含まれているんです。ARTはいろいろな捉え方ができますが、見ている人に気づきを与えられる点が魅力だと思っています。

そして、作品に合わせた色づくりをします。色にさまざまなカラーがあるように、人もさまざまな個性があると気づきます。私はARTを通して人とのつながりを大事にこれからもHEART(心)に響く字チカラ表現者でありたい。



理想の女性像は?


天海祐希さんや篠原涼子さんです。女優や歌手、タレントなどジャンルが違っても、にじみ出る美しさがあります。知識、教養があり、ちゃめっ気もある。いろんなことにチャレンジしているので素敵です。自分らしく生き、バランスがとれているからこそ、内面から出てくる美しさがあると思うんです。

大人の女性として、自分と向き合い、振り返り、見つめ直す。もちろん良いことばかりではありません。辛い時、どう乗り越えられるかは分かりませんが、きっと乗り越える力はあると思っています。だから、いろんなことにチャレンジしたい。

書とのコラボでさらに自分らしさを表現できる何かを模索中です。答えが見つからない時もありますが、ピンチをチャンスに変えていきたいと思います。



理想のパートナー、好きな人のタイプは?


補い合える人がいいですね。人それぞれ、長所・短所がある。色で例えると、「補色」です。引き立つ色があるように、お互いが存在することで相手の魅力を引き出し補い合える関係が理想的なパートナーです。



落ち込んだ時の対処法は?

とことん模様替え、とことん掃除です。年末の大掃除みたいに(笑)。部屋の模様替えは、上半期と下半期で、気持ちの整理もでき季節感を感じられるよう色に変えて楽しみます。

また、作品づくりの時は部屋が散らかります。そこで寝起きし、エネルギーを養う所だからこそ、きれいにします。洗剤なども何がいいか調べますね。最近のお気に入りは「セスキ」です。

掃除をする時は必ず左手で行います。左手の役割を作ってあげるんです。利き手の右手と、逆の左手、両方の出番をつくることでバランスをとっています。

掃除は体をフル活動させ運動にもなります。疲れて落ち込んだ気持ちも消えてしまいます。掃除することで自分と向き合いながら、汚れを自分の悩みだと思って洗い流します。水道代がかかるのは、これまた悩みですけどね(笑)。
 



チャレンジしたいことは?

本気半分、遊び心半分なのですが、30〜40キロの巨大筆で書作品を制作するギネスに挑戦したいです。

また、国内外を問わず、漢字の魅力を伝える筆文字パフォーマンスライブの旅に出たいです。他には、さまざまな素材で身につけられる筆文字グッズ制作や漢字で勇気づけられる空間を創りたいです。漢字マニアですね(笑)



イチオシ美容法は?

簡単なことを続けること。そして、7〜8時間の睡眠ですかね。さらに、好きな香りをつけたホットタオルで疲れがたまる目や肩を温め、リンパマッサージやストレッチを行います。シャキッとしたい時は、凍らせたタオルをおでこに置くと、けっこう目が冴えますので、お財布にも優しく効果大です(笑)



◇撮影協力
Pine Tree Bless T Galleria店(パインツリーブレス Tギャラリア店)
那覇市おもろまち4-1 Tギャラリア沖縄 3F
098-941-3335



田場珠翠(たば しゅすい) 
筆文字アーティスト(字チカラ表現者)

沖縄県出身。3歳から習字を始め、師範免許を持つ表現者。2008年、独自に編み出したオリジナル書体『筆文字あーと』を誕生させ、文字の語源や声を字のチカラで表現し、舞踏や武術のような動きで見る人を引き込む筆文字パフォーマンスや書作品の提供、技術指導などで活動中。温故知新・不易流行を大事に新たな筆文字世界観を創造し続けている。2017年4月から沖縄テレビ(OTV)『嘉例ニュース』に出演中。
☆HP☆ http://www.fudemojiart.com/​

 



朱瞳碧晃

朱瞳碧晃(あやとうみき) 

ビューティーライター、フォトグラファーとして活動。美魔女フォト(ヘアメイク込)、出張撮影、HP・広告用の商用写真撮影やセールスライティング代行を行う。

リポーター経験より、白霧未來でイベントMC、披露宴司会としても活動中。



(月1回掲載)



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