秋の夜長 読書で過ごすぜいたくを 沖縄県産本☆ バックヤード便り[55]

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第55回 秋の夜長 読書で過ごすぜいたくを

 

早いものでもう8月も終わります。9月に入ると書店の売り場は課題図書や、夏休みの自由研究、また夏の定番の文庫フェアから、一気に1月始まりの手帳、家計簿、カレンダーといった季節商品の入れ替えの時期となり、書店員が季節の移り変わりを一番実感する時期です。ここ数年、各社で競うように手帳の出荷時期が早くなっており、慌ただしく、急かされるように季節の変わり目の感傷に浸る時間もなく、年末年始を意識する繁忙期へと突入していきます。

沖縄は9月に入っても暑さは続き、なかなか「秋」という季節を実感するのは難しいですが、秋といえば、「読書の秋」。現在ではテレビやネットが普及して時間潰しが幾らでもできますが、その昔には読書をすることだけが、秋の夜長を過ごす唯一の手段だったからこの言葉が生まれたのかも知れません。秋の夜長は映画を楽しむ方も多いでしょうが、映画を見る前に、原作を読んでから映画を観るのはいかがでしょうか。
 


友利店長おすすめの「舟を編む」。小説、アニメ、映画とそれぞれに違う世界観が楽しめる

私が好きな本の1冊である三浦しをんさんの「舟を編む」(光文社)は、映画化やアニメ化された作品です。ある出版社の辞書編集部が新しい辞書「大渡海」の完成に向けて、日々努力し、苦悩する物語ですが、書店員という立場で仕事に通じる部分を強く感じている作品です。私は原作を読んでから映画とアニメの両方を見ましたが、それぞれに違う世界観があって良かったのですが、映像化では時間の都合でカットされる部分が気になってしまいました。

他の映像化された作品でもそうですが、映像の世界では数秒で何年も先に進んでしまう展開を頭では理解しつつも、イメージが追いつかないというか、微妙な感覚のズレを感じてしまいます。そういう部分が原作ではあまり感じることがありません。個人的な感覚ですが、おそらく文章が書かれている行間を読む時間で、それらを上手く調節しているような気がします。本を読むことで情景を想像し、登場人物の心境を読み解く。そんな時間的余裕を持って楽しめることが読書ならではの楽しみとも言えるのではないでしょうか。

仕事においても効率化され、いろいろなことが便利になる一方で、大事なものが置き去りにされている気がします。周りが急ぐ時だからこそ、後ろを振り返ることや、時には立ち止まる勇気が必要なこともあるでしょう。時代に流されることなく、急がず、焦らずに自分の時間は有意義に使いたいものです。ひょっとすると秋の夜長に読書しかなかった時代こそが、最高な時間だったかもしれません。秋の夜長にゆったりと読書を楽しむのはいかかでしょうか。



友利 勝(ともり まさる) 宮脇書店イオン名護店店長 1974年生まれ 
八重山高校出身。2005年からイオン名護店店長に 趣味は野球観戦と料理です。



宮脇書店
http://www.miyawakishoten.com/store/miyawaki/kyushu_okinawa/okinawa/

 




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