大規模な停電時のスマホの使用法について モバプリの知っ得![72]


この記事を書いた人 稲嶺 盛裕

9月6日未明、推定マグニチュード6.7、最大震度7を記録する地震が北海道を襲いました。
地震の揺れにより苫東厚真発電所の運転が緊急停止し、電力の発電量と使用量のバランスが崩れ、道内のほぼ全域が停電となる事態となりました。

今の私たちの社会は、身の回りを電化製品に囲まれ、電気に頼らなければ生きていけません。
大規模な停電になったことで、現地の生活は一変し不便をしいられることになりました。

今年6月には大阪北部を震源としたM6.1の地震が発生。6月から7月にかけては長時間に渡る豪雨が西日本を襲いました。さらに9月4日は台風21号が近畿地方を襲い、多くの被害が出ています。

今年は悲しいほどに大規模な災害が続いています。
自分の住んでいる地域が「今日被災するかもしれない」と危機感を持ち、緊急時への備えが必要になるでしょう。
 

災害時のスマホ設定

家族や友人と連絡を取ったり周辺の情報を入手したりと、災害時にスマートフォンは便利ツールとしての底力を見せてくれます。

活用できると便利である一方、電池を使い切ってしまうとただの重しに変わってしまいます。
普段からスマートフォンに頼りきっている人であれば、不安も倍増するでしょう。

スマートフォンの充電切れを防ぐためには「設定によって連続稼働時間を伸ばす」「予備バッテリーを所持する」の2つが効果的です。

まず最初に見直したい設定は、画面の明るさです。
スマートフォンのバッテリーが減る一番の要因は、画面を明るくする「バックライト」です。
多くの細かい調整を行うよりも、思い切ってバックライトのレベルを下げ、画面を暗くした方が節電効果が得られます。

周囲が暗いと、画面が暗くてもしっかりと見ることができます。反対に、周囲が明るいと、画面を明るくしても非常に見えにくくなります。

そのため、災害時には建物の中や影の中などなるべく暗いところでスマートフォンを使うと、バッテリーを節約することができます。
(もちろん、災害で建物の中が危ない場合は屋外へ出るなどの対処が必要ですが)

しかしながらこうした設定を駆使しても、数日間の停電に耐えることは難しいかもしれません。
そこで役に立つのが外部電源のモバイルバッテリーです。

モバイルバッテリーを充電しておけば、スマートフォンを数回充電できる外部電源になります。
電池容量によってモバイルバッテリーは複数の種類があり、例えば「10,000mAh」のタイプはスマートフォンを2〜4回程度充電することが可能。
大容量の「50,000mAh」タイプだと、10〜15回程度充電できるようになっています。これなら家族全員のスマートフォンを複数回充電できるようになります。

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停電時に携帯の電波が使えなくなる理屈

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

災害時には情報が溢れ、皆が冷静な判断ができにくくなっているため不確かな情報が広がりやすくなります。

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今回の北海道地震でも「NTTの方からの情報です。只今道内全域で停電しているため電波塔にも電気がいかない状況なので携帯電話もあと4時間程度したら使えなくなる可能性がでてきたそうです。なるべく1人で行動せず家族や仲間、友人などと共に複数で安全な場所に避難してください」とした情報が広がりました。

しかしながら、これは正確性に欠けます。

電波塔(基地局)は各携帯会社でさまざまな種類のタイプが存在し、停電とともに止まる小さい基地局もあれば、自家発電で数日間は動く大きいものもあります。

なので、停電イコールすぐに使えなくなる訳ではありません。
備えは大事ですが、正確性に欠けた言説を広めることで、現地のパニックを誘発する可能性もあるため、取り扱いには注意が必要です。

しかし、実際いくつかの小さい基地局が止まることで、つながりが悪くなったり、電波が入らず「圏外」になったりする場所が出てきたのも事実です。

携帯電話・スマートフォンは圏外になると電波を探すために動き続け、電池の消費が激しくなります。
停電で充電ができない上、圏外になることで余計に電池の減るスピードが増す。
こうした悪循環に陥ると、被災時にとても困るでしょう。

基地局が使えなくなって圏外になると、こちらが設定を変えても外部とは繋がりません。
そのため「思い切って電源を切る」「機内モードに設定する」などして、基地局が復活した時に備えておいた方がいいでしょう。

携帯電話・スマートフォンは、連絡を取ったり情報を入手したりと便利である一方、電池が切れたり、基地局が使えなくなったりすると、うまく活用できません。
だからこそ適切な使い方を学ぶと同時に、災害用の携帯ラジオなど他のグッズの準備もしっかりと行い、災害に備える必要があります。
 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」9月16日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

http://smartphoneokoku.net/