10月15日からの1週間は新聞週間でした。新聞週間は日本新聞協会が行っているキャンペーンで、新聞の役割や存在意義を作り手側が今一度自覚し、そして読者に対して改めて伝える意味があります。
皆さんにとって新聞はどのようなイメージでしょうか?
「朝起きたらポストに入っている情報ペーパー」と考える人もいれば、「新聞の情報はもうネットで見るもの」と思う方もいるでしょう。あるいは「新聞は真実を伝えていない」と感じている方もいるかもしれません。
今回はこの機会に、新聞だけではなく情報発信する「メディア」との向き合い方を考えていきたいと思います。
メディアのいいとこ取りをしよう
情報を発信する媒体のことを「メディア」と呼びます。そのメディアの中でもテレビ・ラジオ・新聞・雑誌のことを「マスメディア」あるいは「マスコミ」と呼びます。
一方で、インターネット上のウェブサイトなどで情報発信するメディアのことを「ネットメディア」と読みます。
マスメディアとネットメディアはその性質の違いから、「対極」に位置し「敵対」しているイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかしながらこの二つは、はっきり分かれているわけではなく、マスメディアがインターネットメディアを運営していることもありますし、最近ではマスメディア出身でその「イズム」を継承した人がインターネットメディアで活躍しているというケースもあります。 マスメディアとネットメディアは遠いようで近い存在です。
しかしながら、情報発信方法の違いによって、マスメディア・ネットメディアはともに長所と短所を持っています。
例えばマスメディア。 長らく続いているところも多く、そのノウハウや経験をもとにしっかりと作りこんだ情報を発信することがあります。しかしその一方、スピード感ではネットメディアに負けたり、放送時間や紙面スペースなどに制約があったりするため「報じられない」情報も出てきます。
ネットメディアの方はフットワーク軽く、速報性を重視した記事を届けることに長けています。新聞では翌朝にしか届かない情報も、ネットメディアであれば「今すぐに」届けることも可能です。また掲載スペースに制約がないため、大量の情報を載せることも可能です。
その一方で、誰でも、手軽に、情報の発信ができるため、不確かな情報や誤った情報が載ることも多く、読者側の見極めも求められます。
マスメディアもネットメディアも、完璧なメディアはありませんメディアの種類や形態が増えた現代だからこそ、多角的な視点で、それぞれのメディアの特徴をとらえて、読者側で「いいとこ取り」する技術が求められています。
メディアを簡単に信じない
マスメディアもネットメディアも、人間が作っています。 AIを活用した記事作成が始まっているメディアもありますが、大事な判断は人間が行なっています。
人間が作っている以上、勘違いや取材不足などで「誤情報」になることもあれば、魔が差して間違った道に進んで「ねつ造」などの行為を行うこともあるでしょう。
だからこそ、メディアの情報を無条件に信じるのではなく、疑いながら他のメディアと比較する姿勢も求められます。 しっかりと自分の頭で考えて、きちんと受け取る必要があるのです。
とくにネット上で「テレビや新聞などのマスメディアは真実を伝えない」と言った言説を多く見かけます。メディアを疑う姿勢はとても大事ですが、そうした人たちが、一方でデマや不確かな情報をまとめているネットメディアやフェイクニュースを拡散させているのを見ると「なんだかな」という気持ちになります。
マスメディアを疑いすぎて、叩ける情報であれば真偽も確認せずに信じてしまう…そうした姿勢は本末転倒でしょう。
情報が溢れる現代社会だからこそ、多角的に、そして疑いの目を持って情報をジャッジしていかなければなりません。
琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」10月21日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。
親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。
【プロフィル】
モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。