一緒に暮らせばホッコリ!沖縄の大地が生み出す「石獅子」がキュートすぎる♡

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 スタジオde-jin  若山大地さん、若山恵里さん 

昔の沖縄で、村落の入り口などに魔よけとして置かれていた石獅子。首里城や寺院にある獅子のような精巧さはないものの、独特の愛嬌や素朴な味わいがある。若山大地さんと恵里さんは、そんな石獅子の魅力に取り憑かれた夫婦だ。大地さんは手彫りの石獅子を次々と生み出し、恵里さんは県内各地の石獅子を訪ね歩いては地域の人々の話を聞き、コツコツと記録を取り続けている。​



那覇市首里汀良町で石獅子の専門店「スタジオde-jin」を運営する若山大地さん、若山恵里さん夫婦。下の写真は大地さん手彫りの石獅子の数々(写真・村山望)

那覇市首里汀良町にある「スタジオde-jin(デージン)」。若山大地さん・恵里さん夫婦が営む、県内でも珍しい石獅子専門店だ。

店内の棚には、大地さんが手彫りした石獅子がズラリと並ぶ。手のひらに乗るサイズの作品が中心だが、バスケットボールほどの大きさの作品もある。

琉球石灰岩から手彫りされた石獅子は、一つとしてぴったり同じものはない。犬のようなもの、カエルのようなもの、首が恐竜のように長いもの、頭だけが極端に大きいもの…。豊かな造形のバリエーションに魅入ってしまう。同じタイプであっても微妙に表情が違うのは、機械を使わず、手彫りで仕上げた石獅子ならではだ。

ただ共通するのは、いずれも愛嬌たっぷりということ。温かみのある表情に、思わずホッコリした気持ちになる。






家族で石獅子めぐり



スタジオde-jinの店舗スペースの奥には工房があり、大地さんが日々制作に励む

母が沖縄出身の大地さん。愛知県内で育ったが、子どもの頃からお盆休みなどに訪れていた沖縄が大好きで仕方がなくて、「中学2年生の時には、将来沖縄に住もうと決めていました」と振り返る。

絵が大好きだった大地さんは高校3年で彫刻の道を志し、県立芸術大学に進学。沖縄で暮らす夢を実現させた。

学生時代から石を素材とした彫刻に取り組んできたが、石獅子を知ったのは9年前。同じ県芸彫刻科の卒業生である豊永盛人さんに石獅子の存在を教わり、衝撃を受けた。

「県内で石の彫刻でやっていけるかという迷いがあったのですが、沖縄でやっていく意味合いが、自分の中でつかめました」。すぐに家族を連れ、県内各地の村落に残る石獅子めぐりを開始。自分でも石獅子を彫るようになり、11年に「スタジオde-jin」を立ち上げた。



恵里さんが県内各地を訪ね歩き、その成果をまとめたファイル。現在、約140の石獅子の資料が収められている

共に石獅子を訪ね歩くうちに、妻の恵里さんも石獅子に魅了された。「最初はいやいや付き合っていたんですが(笑)、地図を見ながらゲーム感覚で探し当てていくうちに、面白くなった」と目を細める。

恵里さんは、村落の人々から由来などを聞き取って丹念にファイルにまとめている。3年前からは、「週刊カフウ」紙上で連載「石獅子探訪記」(毎月第1金曜掲載)を担当し、その成果を披露している。



純粋な造形の魅力



粗彫りの状態の石獅子。白いものは勝連産の勝連トラバーチン、少し茶色がかったものは港川産の粟石から彫られている。造形は基本的に伝統的な石獅子を参考にしているが、大地さんがアレンジを加える場合もある

石獅子の素材となるのは、琉球石灰岩。本島の中南部で多く産出され、人々の生活の中にあった石だが、多くの気孔を含み柔らかい性質をもつため、細かい彫刻に向いているとは言い難い。

「村落の入り口に置かれている石獅子(村落シーサー)は、庶民が自分たちのために作ったもの。素材も、身近にある琉球石灰岩しか使えなかったんでしょう」と大地さん。首里城や寺院にある石獅子のような緻密さはないが、目と鼻と口だけということもある素朴な造形は「願いだけで作られた純粋さを感じさせる」と力説する。

大地さんの彫る石獅子の表情が一つ一つ違うのは、石が一つ一つ違うからだ。石の個性に合わせて、彫り方が微妙に変わるという。「琉球石灰岩は沖縄の土地そのもの。その魅力がストレートに迫ってくるのが石獅子」(大地さん)。石の個性と向き合い、石と対話しながら掘り上げる石獅子は、沖縄の大地が生み出した造形なのかもしれない─。取材の中で、そんなことを思った。



(日平勝也)




スタジオde-jin
那覇市首里汀良町1-2 1階
【営業時間】10時〜18時
【定休日】日曜、不定休
【ホームページ】www.de-jin.com
☎︎098(887)7466



(2018年11月15日付 週刊レキオ掲載)




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