ドルガバ炎上問題から考える。「批判」への対応が命取りに! モバプリの知っ得![83]


この記事を書いた人 稲嶺 盛裕

世界的なファッションブランド、ドルチェ&ガッバーナ(以下ドルガバ)に世界中から批判が集まっています。

ドルガバが投稿した中国・上海で行われるショーのPR動画が「差別的だ」として批判があつまる最中、創業者のステファノ・ガッバーナ氏がSNS上で批判を煽る投稿を行い、炎上は更に拡大しました。

今回の騒動をうけ、中国の通販サイトではドルガバの製品を一斉に引き上げるなど、炎上の余波はブランドのビジネスに直接打撃を与えています。

ネット史上でも稀に見る大炎上から、私たちも「批判を受けての対応」「国際的な感覚」など、学ぶ必要があります。

批判こそしっかりと対応する

ことの発端は、21日に中国・上海で開かれる予定だったドルガバファッションショーのPR動画。

アジア人と見られる女性が、お箸を使いピザなどのイタリア料理をとても食べにくそうにしている3本の動画でした。この動画は「お箸は不便で使いにくい」「(ナイフやフォークと比較して)劣っている」と受け取る余地があり、中国国内のネットユーザーを中心に批判が集まりました。

動画はすぐに削除されましたが、ドルガバ創業者の一人、ステファノ・ガッバーナ氏はインスタグラムのDM(ダイレクトメッセージ)にて寄せられた質問に、「中国はクソだ」「無知で汚く臭う中国マフィア」などと言った汚い言葉を使って反論。

本来インスタグラムのDMはユーザー間のやりとりのため、第三者に見られることはありませんが、ユーザーが告発によって、やりとりが明らかになり、ドルガバへの批判は加速します。

この件により、中国国内のモデルたちはドルガバの商品を使わないことを表明。ファッションショーへの出演もキャンセルし、ショーは中止となりました。また、中国の通販サイトもドルガバ商品の取り扱いを中止。事実上、ドルガバは中国市場から締め出された形になりました。

今回の炎上はきっかけこそ動画でしたが、ここまで影響が大きくなったのは、ステファノ・ガッバーナ氏の対応でしょう。火に油を注ぐ態度ではなく、批判の問題点をしっかりと汲み取り、組織として反省して改善すべきだったと思います。

ガッバーナ氏の炎上は今回が初めてではありません。過去にもSNSで過激な発言を投稿し、何度も非難されていました。

労働災害を防ぐための考えに「ハインリッヒの法則」があります。これは「1件の重大事故の裏には、29件の軽微な事故、そして300件の傷害にはいたらない事故がある」という法則です。

今回の「重大事故」も突如として発生したものではなく、ガッバーナ氏が「過去の障害にはいたらない事故」から学ばず、放置してきた結果なのかもしれません。
 

外国の文化をリスペクトする

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

もともと過激な発言を行なっているガッバーナ氏とはいえ、世界的な企業のドルガバでさえも、ネットの使い方を一つ間違えると大炎上して大打撃を受けることが改めてわかりました。

使い方に気をつけるのは「スマホを使い始めた子供たち」だけではありません。武器にも凶器にもなるスマホやインターネットは、利用者全員が使い方に気をつける必要があります。

今回の騒動の問題点は、他の国や地域への配慮を欠いた、見下すような動画・発言があることも忘れてはいけません。インターネットに国境はないため、投稿したものが瞬時に世界中へ広がります。国際的な感覚を欠き、特定の国や民族・文化を蔑む態度は、今回のように大炎上へとつながります。

またネットだけでなくリアルな社会でも、様々な国の人たちが世界中を行き来しています。今後仕事でも多くの外国籍の人との付き合いが増えてくると思いますので、他の国や地域の歴史や文化を学び、リスペクトする感覚がとても大事です。

その一方で、ネット上には特定の人種や文化を蔑むような投稿も多く存在し、排外主義、差別的な言動もあふれています。

個人的な「好き嫌い」として胸に留めておくのであればともかく、こうした態度をネットに投稿して公言することで人を傷つけ苦しめ、そして自分自身もそのような投稿をきかっけにして社会的に「命取り」になることがあると意識しながらネットを使いましょう。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」12月2日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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