スマホを使って高額収入? ネットに蔓延る甘い勧誘にご注意! モバプリの知っ得![84]


この記事を書いた人 稲嶺 盛裕

消費者庁は10月17日、「スマホをタップするだけでお金が稼げる」とうたい、多額の金銭を支払わせる事業者への注意喚起を行いました。

ネット広告などで「スマホを操作するだけで簡単にお金が稼げます」と勧誘し、数万円規模のものから、高額になると100万円を超える「授業料」を支払うように指示するものです。高額に思える授業料ですが、「すぐに稼いで取り戻せる」と甘い言葉を使い、お金を支払わせる手口となっています。

ネットを活用したり、スマホを使うことでお金を稼ぐ方法は確かに存在します。しかしながら「簡単に高額を稼ぐ」という方法は存在しないため、支払った金額以上の収益をあげることはとても難しくなっています。
 

色々な手口で私たちを狙う

今回消費者庁が名前を出して注意を促したのは「株式会社 Quest 」です。

“平成 30 年4月以降、「スマホをタップするだけでお金が稼げる」などとうたう事業 者に関する相談が各地の消費生活センター等に数多く寄せられています。 
消費者庁が調査を行ったところ、「株式会社 Quest」(以下「Quest」といいます。)と の取引において、消費者の利益を不当に害するおそれのある行為(虚偽・誇大な広告・ 表示及び断定的判断の提供)を確認したため、消費者安全法(平成 21 年法律第 50 号) 第 38 条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表 し、消費者の皆様に注意を呼びかけます。 また、この情報を都道府県及び市町村に提供し、周知します。”

http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/pdf/consumer_policy_caution_181017_0001.pdf

消費者庁によると株式会社Questは、「スマホをタップするだけでお金が稼げる」や「無料モニター募集」などと勧誘し、「爆速即金GET」というウェブサイトへ誘導。そこでは、「スマホタップで月収200万円のお手軽副業参加権!」「今話題の仮想通貨10万円相当」と甘い言葉を並べ、名前やメールアドレスなどを登録させ、その後は登録されたメールアドレス宛に様々な勧誘を送り、数万円から100万円を超える「教材費用」を支払わせたとのことです。

「1期生4名が収益を得ている」「ビジネスを考案したカリスマ あやパン」など、勧誘する際の「実績」として挙げられた人物は架空の存在だったことも分かりました。

さらにクレジットカードで80万円の教材費用を支払わせる際に、「クレジットカードの支払日までに確実に80万円は稼げますから」と、確実に高収入を得られるような勧誘をしていたことも発覚。

しかしながら教えられた方法で簡単に稼ぐ方法ことができないため、支払った「教材費用」以上に稼げず、ほとんどの人は「大損」になったと思われます。

この手の話は、古今東西さまざまなパターンが存在します。私の身近にも、「ミュージシャンとしてプロデュースするからお金を支払え」や、「仮想通貨で儲かるから投資しませんか」などといった勧誘に引っかかり、高額な支払いをした人が何人もいます。
 

関連記事-甘い言葉にご用心!SNSでのスカウトに気を付けよう モバプリの知っ得![67]
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-780849.html

今回は「スマホで簡単に稼げる」といったテーマでしたが、今後もパターンを変えた様々な方法で勧誘してくることが想定されます。引き続き、気をつけなければいけません。

こうして手口だけを聞くと「どうして引っかかるのだろう」「自分は大丈夫」と考えてしまいます。しかしながらそれは「後知恵」です。トラブルが報じられたあとだからそう感じるのです。

実際、相手は人を欺くプロです。私たち以上に場数を踏んでおり、さまざまな受け答えのパターンを用意しているので、相手の土俵にのっかると、引きずり込まれる可能性があります。こうした「甘い話」は相手にしないことが一番です。

被害者から加害者へ

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

確かにネット上でお金を稼ぐ方法自体は存在します。

例えば、自分のホームページやブログで商品を紹介したり、広告バナーを掲載します。そうすると、購入実績やクリック数に応じてお金がもらえる仕組みです。このような仕組みを「アフェリエイト」などと呼びます。

しかしながら、手間暇かけず即席で作成したホームページやブログで商品を買う人はほとんどいないですし、アクセスも少ないため、広告収入もほとんど得られません。よって「簡単に高額な収入を得る」ことはとても難しくなっています。

それでも「なるべく労力をかけずにアクセスを増やして稼ぎたい!」。そう思うと、既存のメディアの記事や他人が撮影した話題の動画を無断で転載してアクセスを稼いだり、有名人のうわさ話や、人々の興味・関心が高い分野でのデマを流すなどの方法に走る人が出てきます。

2017年1月にはWebメディアの「BuzzFeed News」が取材によって、お金儲けのために「デマ」を流した20代男性の存在が明らかになりました。

“フェイクニュースを配信する、これらのサイトを作った目的は何か。

「短期間でお金を稼ぎたい、というのが理由です。政治的な記事のトラフィック拡散を用いて金銭を得ようとしたのは、初めてでした」”

BuzzFeed News-「ヘイト記事は拡散する」嫌韓デマサイト、運営者が語った手法
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/korean-news-xyz-2

また2017年7月には、俳優の西田敏行さんに関するうその情報をブログに書き込み、所属事務所の業務を妨害したとして3名が書類送検されています、

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https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-535925.html

儲けたい一心で、ガムシャラに「儲けられそうな方法」を試したら自分が加害者になっていた。こうした事例も多数出ているため、「被害者」にならない心構えも大事ですが、自分が「加害者」にならないように注意しなければいけません。

こうした契約や金銭のやりとりで気になることがあれば、無料で相談できる消費生活センターや警察の相談窓口に電話をし、相談をしてみてください。

【消費者ホットライン】
電話番号 188(いやや)

【警察相談専用電話】
電話番号 #9110

引き続き、新たな手口に引っかからないように、アンテナを張ってネットを使う必要があります。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」12月9日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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