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糸を張って、冬を乗り切る 100cmの視界から―あまはいくまはい―(38)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

日に日に寒さが増し、私にとってはピンチの季節がやってきました。子ども、私、ヘルパー、夫、みんなの病気の嵐で、生活が回らなくなるのです。

私は障害福祉サービスの中でヘルパー制度を使っていますが、自分で全てコーディネートする「自薦」を利用しています。自分でヘルパーを見つけ、シフトを組んで調整をし、ヘルパーに来てもらいます。子どもが発熱した時、私一人では病院に連れていけません。夕方ごろ熱が上がってきたら、ヘルパー全員に連絡をして「明日の午前中、子どもの病院に行きたいので誰か来れませんか?」とお願いし、調整をします。

ヘルパーが急病で来られなくなった時も、他の全員に連絡をし、代理を見つけます。体調不良で予定が次々に変わり、ぎりぎりで回すこの時期は、私にとって恐怖でもあります。

友だち家族と子ども食堂へ。偶然出会った沖縄出身の彼女は、私の父の教え子でした。世の中狭いですね

予定変更に対応するために気を付けているのは、普段からたくさんのヘルパーでシフトを組むことです。1日約10時間ヘルパーを使いますが、わざと3交代にします。一人目が午前7時半から9時、二人目が午前10時から午後1時、三人目が午後2時から午後9時です。もし一人が急に来られなくなっても、あとの二人で調整ができることが多いからです。また月2、3回の数時間だけ入ってもらう人も見つけ、普段はメインではないけれども、誰かが休んだ時のサブ要員になってもらいます。

ファミリーサポートや預かり延長保育、そして近所の人の助けも借りながら、子どもの園の送迎をはじめ、育児をこなしている私。クモのように、目には見えにくい透明の糸を張り続け、巣をどんどん大きくするのがポイント。何かあった時に慌てて頼る人を見つけると不安です。また頼らずに頑張っていると、ぎりぎりまで我慢をして無理をしてしまいがち。でも避難訓練のように、大変なことを想定して動いていると、ピンチを乗り切りやすいのです。

自分をオープンにして、人を頼るようにするための巣作りは、めんどくさいことも。でも人とつながっているからこそ私は生きていけるのです。転勤族なので近くに親戚がいないからこそ、自らあちらこちらに手を伸ばすしかありません。手伝ってくれそうな人、一声かけてくれた人がいたら、糸の巣でぐるぐる巻きに! 笑。そして何より、誰にでも人懐っこい子どもたちのおかげで、どんどん巣が広がっていきます。この冬もたくさんの人に支えてもらい、スパイダーウーマンは乗り切ります! 

(次回は25日に掲載します)

伊是名夏子

いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2018 年12月11日 琉球新報掲載)