酒に酔ってSNSを触るのは危険!思わぬトラブルを引き起こす可能性も モバプリの知っ得![85]


この記事を書いた人 稲嶺 盛裕

日本最大のお笑いコンテスト「M-1グランプリ」の出場芸人がスマホアプリの生配信で、審査員を務めた先輩芸人に対して、暴言や差別的な発言をしたことが大きな話題となっています。一見するとお笑い業界内のトラブルのように感じるかもしれませんが、「差別発言」の是非については私たちも広く考えるべきでしょう。

その日の夜になにがあったのか

問題が起きたのは、M-1グランプリが開催された12月2日の深夜でした。

M-1グランプリの打ち上げでお酒を飲んでいた出演芸人「スーパーマラドーナ」の武智さんがSNSアプリ「Instagram」のライブ配信機能を使ってその場の様子を中継。

同席していたM-1グランプリ前年優勝者の「とろサーモン」の久保田さんはカメラを向けられて「もう自分の感情だけで審査するのやめてください」「おまえだよ右側のな!クソが!」と発言。

こうした発言を笑いながら配信していた武智さんも「右のオバハンにはうんざりですよ」「更年期障害かって思います」と発言しました。

SNSの仕組み上、InstagramはTwitterほどのスピーディーな拡散力はありません。転送のRT(リツイート)に当たる機能がないためです。さらにInstagramのライブ配信機能はアーカイブとして残さず、配信終了と共に削除することが可能。動画が残るYouTubeなどと違い、ユーザーは良くも悪くも肩の力を抜いて配信しがちです。

さらにはお笑い界にとっての年に一度の最大のイベントが終わり、お酒も入っていたことなどから、今回のような暴言が飛び出たのかもしれません。

このライブ配信の映像はすぐに削除されたものの、視聴者が画面録画などの機能を使って保存したと思われ、すぐにネット上で拡散。

翌12月3日から芸能ニュースを賑わせており、とろサーモンさんは宮崎県知事選挙のPRポスターの写真が差し替えられるなど、はっきりと仕事に影響が出ています。
 

お酒を飲んでの発信は気をつける

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

問題となった動画を見ていると、とろサーモンの久保田さんはすごく酔っ払っているように見えました。お酒を飲んで車を運転すると飲酒運転となり犯罪行為となります。それは酔っ払って正常な判断ができず、便利なはずの車が人を傷つける凶器になりえるからです。SNSも便利である反面、使い方を間違えると凶器になり、人を傷つけることもあります。

たとえ自分が酔っ払って正常な判断ができなくても、SNSの投稿を見たお酒を飲んでいない人たちは冷静な判断を下します。今回のような大きな問題にならなくとも、結果として自分の評価が下がったり、信用を失う可能性もあります。

 酔っ払うと攻撃的になったり、性格が大きく変わる人などは、お酒を飲んだらSNSをやらない、あるいはSNSアプリそのものを一時的に削除するなどの対策をとり、不要なトラブルを避けるように努めなければいけません。

病気を安易に持ち出さない

ネット上の反応を見ていると強く批判が集まっていたのは武智さんの「更年期障害かって思いますよね」の部分でした。

相手を批判するときに病気を持ち出して揶揄することをよく見かけますが、それはとても問題のある行為です。

まず、見た目や言動だけで安易に病気の名前を出し、批判の材料として使うことは、病気に対する間違った知識や偏見を広げることになります。仮に、本当に病気だったとしても、批判する内容と症状の因果関係がないと、結果的に間違った症状の知識を広げることになります。

さらに本当に病気であり、その症状がはっきりと現れているのであれば、必要なのは批判ではなく治療です。

そうした部分からも、批判・否定の文脈で「病名」を出すことは、可能な限り避けた方がいいでしょう。

「お酒に酔って配信する」「病名を使った差別的な言葉が飛び出す」など、事故の原因が重なったため、今回は連日ワイドショーで取り上げられる大問題となりましたが、これは彼らのような芸能人だけの問題でなく、私たち一人一人も似たようなリスクを抱えています。

問題発言を行った芸人を叩くのではなく、自分たちのケースに置き換えて気を引き締めることが、今私たちに求められている対応です。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」12月16日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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