「常連客の淳男さん」が考えた激ウマ調味料【島ネタCHOSA班】


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沖縄そば好きの友人から、北谷町のそば屋さんに置いてある「あつおちゃん」という調味料がうまいと聞きました。ネーミングもかわいくてちょっと気になっています。

(那覇市 調味料に超魅了さん)

あつおちゃん? ユニークなネーミングですね。なぜ、調味料に人の名前を付けたのでしょう? あつおちゃんって店主の名前? そもそもどんな調味料なのか、いろいろ気になりますね。それでは調査開始です!

商品名の由来は?

(左から)宮里淳男さん、店主の喜友名正春さん。右端は喜友名さんと一緒に店のこだわり生麺を考案した元店長の宮国博人さん

依頼主によると、その店は北谷町の「そば&酒膳処 一本松」とのこと。まずは電話で聞いてみると、「あつおちゃん」は常連客が考案した調味料で、その人の名前からネーミングしたといいます。調査員は詳しい話を聞くために、店を訪ねることにしました。

店に着くと、店主は忙しそうなのでしばらくメニューを見ながら待っていると―。「あつおちゃん」こと宮里淳男さん登場! どうやら、お店の方が呼んでくれたようです。調査員は、さっそく「あつおちゃん」の誕生秘話をお聞きしました。

「もともと趣味でコーレーグースなどを作っています。それで、ときどき知り合いからもらっていた乾燥トウガラシと、うちにいつも置いてある乾燥ニンニンクをミキサーで混ぜてみました。その味がよかったので、ここの店主に『使ってみたら?』と言ってあげたんです」とのこと。

するとちょうどいいところに店主の喜友名正春さんがやって来て、こう続けます。「それをもらって料理に使ってみたら、何にでも合う。別の材料を入れたりしてみたけど、あんまりよくなかったので、材料はそのままで分量をいろいろ変えてみました」。

喜友名さんは、淳男さんの作ったものを改良し、商品化してから10年以上。隠れた人気商品になっているそうです。 

ところで、なぜ淳男さんの名前をそのままネーミングしたのでしょうか?

「淳男ちゃんに、考案者の名前を付けよーねーと了解を得て『あつおちゃん』にした。この人がいなければ、この商品はなかったから」

なるほど、考案者である淳男さんに敬意を表したのですね!

「自家製赤唐辛子 あつおちゃん」350円(18㌘)。200円(20㌘)、500円(60㌘)の袋入りあり

コンテストで奨励賞

タコスそば。同店では太麺と細麺の2種類の生麺をブレンド

容器のラベルには「自家製赤唐辛子 あつおちゃん」と書かれており、さらに「味のUPに! 辛さとパンチ!!」とあります。どれくらい辛いのか気になっていると、喜友名さんから「沖縄そばを作ってあげるから、『あつおちゃん』試してみたら?」とのうれしい言葉。

同店には三枚肉チーズそばやマーボー豆腐そば、和風カレーそばなど珍しい沖縄そばがあり、一番興味をそそられたチーズ入りの「タコスそば」をいただきました。

食べてみると、麺にからむチーズがなんともいえません! すっかり「あつおちゃん」のことを忘れ、麺をすする調査員…。 

おっといけない、完食してしまうところでした。それでは「あつおちゃん」振りかけまーす! おっ、確かにパンチがあります! 次にそのままなめてみると、舌がピリピリ、喉が痛い! 辛いのが苦手な調査員には少し刺激が強いのですが、ニンニクの香ばしさがいいですね!

そばにいた常連客の一人、普久原朝春さんに「あつおちゃん」を初めて口にしたときの感想を聞いてみました。

「焼き鳥に『あつおちゃん』を、ばーっとかけて食べたわけ。そしたらもう、頭皮から汗がぶぁ〜って」と大げさなジェスチャーで話します。そりゃそうですよ! 「ばーっ」ですもん(笑)。ちなみに普久原さんは、いつも「マイあつおちゃん」をかばんや車の中に入れているそうです。

「あつおちゃん」は同店で販売しており、リピーターも多いそう。「一度口にしたら、ほとんどの人がまた買いにくる」と喜友名さん。実は「あつおちゃん」、昨年度の北谷町産品コンテストで奨励賞を受賞しているそうです。

淳男さんいわく「七味でも一味でもない二味唐辛子の『あつおちゃん』は〟深い〟」。何にでも合うからだそうで、それが人気の秘密なのではとのことでした。

辛いのが苦手な人でも少量から試してみると、いろいろな味のバリエーションを楽しめそうですよ!

(2018年12月20日 週刊レキオ掲載)