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動けないからこそ情報収集 100cmの視界から―あまはいくまはい―(39)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

メリークリスマス! 子どもたちは大喜びの朝ですね。私の実家は春夏秋冬、季節の飾りと料理にあふれていて、その中でも一番盛大だったのはクリスマス! 部屋の中を手作りの物で飾るだけでなく、外にも電球をちりばめ、ひときわ目立つお家でした。

家中を手作りのもので飾り付けた、8歳のクリスマス

私は子どもの頃から物作りやお菓子作りが大好きで、ミシンでマスクを作ったり、毛糸でカバンを編んだり、まつぼっくりでリースやツリーを作ったりしていました。正月が終わると、1カ月かけバレンタインの準備に取り掛かるのが恒例行事。試作をいくつも作り、ラッピングも試行錯誤し、本番に備えるのです。

でも一人で出掛けられない私は、材料調達が難しいことも。例えば、テレビでリース作りを見たら、材料をメモし、必要な物がどこに売られているかを調べます。今の時代は100円均一でほぼそろいますが、30年前は違いました。フェルトは近くの文具屋さんで買えますが、毛糸なら手芸品店にしかありません。グルーガンは手芸品店よりホームセンターの方が種類が豊富で、お手頃価格です。材料選びは楽しいので、あちらこちらのお店をゆっくり見たいし、吟味したいのですが、歩けないので、一人では出掛けられません。親にお願いをして連れていってもらうか、買ってきてもらうかしかありません。

せっかくお店に連れていってもらったのに、欲しい商品がお店にない時はとてもがっかりしました。忙しい親が別のお店を回ってくれるとも限りません。それなので欲しい物がある時は、事前にお店に電話をし、在庫はあるのか、再入荷はいつなのか、どんな種類や色があるのか、そして値段を聞くのです。在庫が少なければ取り置きもお願いします。めんどくさくもありますが、自分で行けないので仕方ありません。自分で動けないから諦めるのではなく、代わりの方法にチャレンジするだけのこと。ちょっとの一工夫、ひと手間で、やりたいことができるのです。

そんな事前準備や情報集めを積み重ねてきたので、欲しい物をゲットする能力には自信がつきました。やりたいことを形にするため、アンテナをあちらこちらに張り、気になったら自分ですぐに問い合わせます。また、日ごろから周りの人に自分の好きなこと、欲しい物を伝えていると、新しい情報が入ってきやすくなりラッキーです。

今年もあまはいくまはいを読んでいただき、ありがとうございました! 来年も日本中、世界中をあまはいくまはいし、コラムでお届けできるとうれしいです。みなさんもよい年をお迎えください!

(次回は1月15日に掲載します)

伊是名夏子

いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2018 年12月25日 琉球新報掲載)