2018年は「選挙デマ」が猛威を振るった一年。 モバプリの知っ得![87]


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

あけましておめでとうございます。今年も「モバプリの知っ得!」を宜しくお願い致します。
早速ですが2018年の「インターネット事件簿」を振り返ってみます。残念なことに2018年もたくさんの事件が発生し話題となりました。

事件を個別に見ていくと、結局のところ過去の事件と同じ原因でトラブルに発展しているものも多く、改めて過去の事件を学ぶことの大事さを感じます。

ついにやってきた「選挙デマ」

数ある「2018年ネット事件」の中でも、多くの沖縄県民の身近に感じた脅威は「選挙デマ」でしょう。特に2月の名護市長選、9月の沖縄県知事選では大量のデマが発生し、全国ニュースでも報じられる事態となりました。

選挙の時にデマが流布することは、今に始まったことではありません。昔から「怪文書」として、特定候補の評判をおとしめる噂が書かれたチラシがポストに投函されるなどして、選挙にデマはつきものとなっていました。

しかしながらネット時代の「デマ」は拡散のスピードや影響力が怪文書ビラとは大違いです。さらにはネット上に情報が残り続けるため、選挙後もデマによって間違った認識が広がっていきます。

選挙デマは2016年のアメリカ大統領選の時に世界的な話題になりました。ヨーロッパにある小国「マケドニア」の村で、若者たちがトランプ大統領への支持を訴えるようなフェイクニュース記事を作成。そうした偽の情報がSNSなどで拡散され、若者たちは大量のアクセスをゲットし、広告収入として若者たちのお金に変わりました。

「アクセス=お金」の仕組みがある以上、選挙などの注目が集まるイベントの時には、様々な情報が出てきます。そしてスマホを使えば情報を受け取ることも、拡散することもとても簡単です。言い換えると、正しくない情報であるデマ、フェイクニュースを、自分自身が受け取って、拡散させる可能性があるということを意識し、常に注意しておかなければいけません。

デマを広げてはいけない人が…

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

9月の沖縄県知事選は、米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設の容認・反対をめぐり、全国的な注目を集めました。

この時に衝撃だったのは、現職の国会議員やベストセラー作家など、社会的に信用のある人がデマを拡散したことです。影響力が高く、本来はお手本になりうる人たちが率先してデマの拡散をおこなっていたのです。

沖縄県知事選でデマは大量に拡散されましたが、2018年12月現在逮捕された人はいません。つまり「選挙時のデマは捕まるリスクが低い」と判断され、今後も同じようなデマが繰り返される可能性があります。それはとても恐ろしいことです。

デマを基にした1票とそうでない1票とでは、重みが変わってきます。

「デマ」と、「デマの訂正」では、デマの方が拡散される傾向があります。
「面白い嘘」と「面白くない事実」では、前者の方に人々は喰いつくからです。
デマが出た後に、いくら訂正してもデマを受け取った全ての人には届かないのです。

こうした現状に歯止めをかけるには、私たち一人一人の意識が問われます。
デマを拡散させるのではなく、少しでも真実を広げるように「デマの訂正」の方を拡散させる。

些細なことかもしれませんが、こうした態度をとる人が増えてくると、デマの効果が下がるばかりか「あの陣営は意図的にデマを流している」と避けられ、淘汰されるからです。

2019年も引き続き、県民投票や国政選挙が行われます。2018年に何が起きたのかを改めて意識し、よりよい選択に繋がるようにしたいものです。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」1月6日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

http://smartphoneokoku.net/