制服がつらい…スカートでもズボンでも良くない?【レインボーハート】


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前回はゲイである私が経験した思春期の悩みを書きましたが、今回は県内の同じ思春期世代の子どもたちから多く寄せられる制服の悩みについてお伝えします。

「進学を希望する高校が制服選択制ではないので進路を悩んでいる」。昨年、県内のある中学校で講演した際に生徒から個別に相談を受けました。入学式でスカートをはき、翌日から登校拒否になったという中学生もいました。小学校までは私服でズボン登校だったのに、中学校では女子の制服はスカートと決まっています。

将来はこんな大人になりたいと夢を描いて頑張ってほしい思春期に、制服で進路や学校生活が制約されることは、私たち大人は誰ひとり望んでいないはずです。しかし、生徒からの制服の悩み相談は後を絶ちません。

性同一性障害の人が性別違和感を自覚し始める時期は、小学校入学前までが56・6%、中学校までが89・7%(中塚幹也、2010、「学校保健における性同一性障害、学校と医療の連携」『日本医事新報』)と、性別違和感は早い時期から始まります。そうした子どもたちにとって、性別で制服が決められることは深刻な精神的負担になっています。

また、アトピーで足の肌を人に見せたくない、寒い日はズボンがいいという性別違和感ではない理由でズボンを希望する女子生徒もいます。そもそも大人は職場でスカートかズボンの選択が可能です。なのに、なぜ学校の制服はダメなのでしょう? 子どもを信頼し、選択肢を与えていいのではないでしょうか。

制服選択制を導入した那覇高校の生徒たちと

そんな中、先日うれしいニュースが飛び込んできました。県立那覇高校が3学期から制服選択制を導入しました。実は、昨年度那覇高校で全校生徒を対象に講演会を行ったところ、後日卒業生から母校に制服選択制を提案してほしいと要望がありました。私から養護教諭に連絡し、校内で議論され導入が決まりました。事前相談が不要で、性別に関係なくズボン・スカートタイプどちらでも選択可能になります。

事前相談不要という点が画期的です。相談が必要な場合、生徒は自分の性について先生にカミングアウトしなければいけないことになりますが、それを望まない生徒もいます。性別関係なく事前相談不要でズボン・スカート選択可能な制度導入は、県立浦添高校(本年度4月導入)に次ぎ、沖縄県内では2校目とのこと。

早速SNSで紹介したところ、子どもたちからシェアやいいねが続きました。「自分の学校でも提案してみます」という積極的な生徒もいました。こうした反応を見ながら、どれほど子どもたちが制服選択制を待ち望んでいるかが分かりました。

(2019年1月22日 琉球新報掲載)

 たけうち・きよふみ 岡山県津山市出身、沖縄県在住。レインボーハートプロジェクトokinawa代表。LGBTをテーマに学校講演会を数多く行う。