沖縄のサトウキビ畑でカッコイイ乗り物を見つけた

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サトウキビ生産を支える力持ち

キビ刈りシーズンになると畑の中で見かける車両「ハーベスター」。この時期の風物詩とも言える乗り物だ。しかし、その姿を見たことはあっても、しくみや操縦する人の仕事について知らない人が意外と多いのではないだろうか。沖縄本島内で主に使用される「小型ハーベスター」と、そのオペレーター(操縦者)の仕事に注目してみた。



ハーベスターの仕事に密着
サトウキビ畑の中を、與那嶺力さんが操縦するハーベスターがパワフルに進んでいく(場所・今帰仁村崎山)撮影・村山 望

ここは今帰仁村崎山、国道から一本道を逸れるとすぐに農作地となるのどかな地域。農道を車で走らせていると、ゴオオオという音が聞こえてきた。與那嶺力さんがハーベスターを動かす音だ。



畑の中で働く車



與那嶺さんが操縦するのは魚谷鉄工製の小型ハーベスター。サトウキビ畑の畝(うね)1本ごとに沿って移動し、キビを収穫していく。車両前方に付いた回転する4本のクロップリフターというパーツが前方のキビを巻き込むと、車体下部にある回転刃がこれを切り取る。切り取られたキビは車体内部で均等な長さに切りそろえられると、車体後部の収納袋へ入っていく。同時に、キビの葉や皮などの不要な部分は、強力なファンダクトで吹き上げられ、車両上部の排出口から勢いよく出て行く。

與那嶺さんがハーベスターを使って作業する畑では、2人の補助作業員も一緒に働いていた。2人は手斧を片手に車両の周囲を歩き、ハーベスターが刈り残したキビを拾ったり、農道に散らかった葉を片付けたりしている。これらも大事な仕事だが、補助作業員の一番重要な役割は、鉄筋や大きな石のように、ハーベスターの破損につながる障害物を畑の中から取り除くことだそうだ。

平成21年度に県の補助事業を活用し、ハーベスターを導入したという與那嶺さん。オペレーターの仕事で何が大変かをたずねると、「故障したとき」という言葉が返ってきた。約9年間使用しているハーベスターは、その見た目からも長年愛用されてきたことがわかる。「この前も作業を始めようとして畑に入った途端、キャタピラが壊れたんだよ」と苦笑い。そんな時はどこかに修理を頼むんですか、と記者が続けると、「いや、全部自分で直すよ!」と、たのもしい答えが帰ってきた。


ハーベスターの仕事に密着
ハーベスターの後部に装着された収納袋は一袋およそ800キログラム。取材時に作業していた畑では4袋分のキビが刈り取られた。

ハーベスターの仕事に密着
ハーベスターの運転席。長年使い込まれている様子がうかがえる


地域で担う役割



ハーベスターの仕事に密着
JAおきなわ今帰仁支店の大城康成さん

慌ただしく働く與那嶺さんの現場を後にしたあと、記者はさらに詳しい知識を得ようとJAおきなわ今帰仁支店を訪れた。経済課でサトウキビ事業を担当する大城康成さんから話を聞くことができた。まず伺ったのは、オペレーターになるための資格についてだ。

「ハーベスターの操縦には『大型特殊免許』が必要ですが、それだけでなく、車両を整備するための『農業機械士』の資格もオペレーターの皆さんには取得してもらっています」と大城さん。ハーベスターは、受注生産される車両であるため、県内に修理を行うことができる場所はほとんどない。そこで、ハーベスターのオペレーターになる場合は、修理やメンテナンスを手がけることができる技能も身につけてもらうという。2つの資格の保持が、車両導入の際に補助を受ける条件にもなっている。自分で車両を修理するのは、與那嶺さんのようなベテランのオペレーターには当然のことなのだ。

現在、JA今帰仁村の所轄にあるハーベスターは3台。オペレーターも3人いる。大城さんによると、今年度村内で収穫されるサトウキビの78㌫をハーベスターが収穫することになっている。今帰仁村内では、高齢化や他の作物へ転作で、サトウキビ生産に関わる人が減ってきている。1日フル稼働すると、1500坪を刈り取ることも可能というハーベスター。サトウキビ収穫の心強い味方だ。

ハーベスターが作業する光景を見かけたら、車両やオペレーターの仕事に注目してみてほしい。地域の農業について知るきっかけがたくさんあるはずだ。


(津波典泰)



(2019年2月21日付 週刊レキオ掲載)




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