細密ネタ作りの頭脳派!<リップサービス 金城晋也さん>に答え合わせ!?◇沖縄芸人ナビFILE.7

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インタビュアーは、沖縄お笑い界の実力派トリオ「初恋クロマニヨン」の松田正(まつだ しょう)さん。松田さんが仲間でありライバルでもある芸人さんを質問攻めにするのが面白いと好評の連載です。今回はオリジン・コーポレーション所属、リップサービスの金城晋也さんを訪ねました。



夏開催の賞レース「お笑いバイアスロン」4連覇という輝かしい実績を持つ、リップサービス金城晋也さん(オリジン・コーポレーション所属/左)と、ナビ芸人の松田正さん。(よしもとエンタテインメント沖縄所属

今回は僕らの世代の頭脳派芸人代表、金城晋也さんに会いました。晋也と榎森のコンビ「リップサービス」は、賞レースでも結果を出すコンビ。彼らとは8人ユニット「はちノリ」で一緒にライブをする仲間ですが、本当にすごいコンビだとリスペクトしています。ナビゲーターの僕・松田正が、素の晋也に迫ります。



リップサービスのスタイルって!?



松田ナビ:頭脳派イメージの晋也。リップサービスの漫才は段積みで大きくなっていくイメージ。どんな風に今のスタイルに!?

晋也:狙って段積みにしているわけではなく、派手な漫才が出来ないだけ(笑)。でも場面によってネタの作り方を変えています。例えばお正月の賞レース「O-1グランプリ」用に、誰が見てもわかるショートコント風のネタを書くなどですね。

松田ナビ:本来は段積みの方が好きそうだし、そこにものすごくこだわりがあるのが分かります。

晋也:つじつまが全部合っている方が好きです。合ってないと、気持ち悪くなる(笑)。

松田ナビ:「はちノリ」メンバーでアイデアを出しあって、羅列状態になったら晋也が「ここ、つじつまが合ってないんじゃないですか?」と整理してくれる。最後に晋也を通すのがルールという雰囲気があるかもしれない(笑)。

晋也:校閲記者みたい(笑)。性格が細かく、ネタに関しては特に細かい。「ダメ出しください」って後輩に言われた時、細か~い所ばっかり見るので、「こんなこと聞きたいわけじゃない。笑いにつながるアドバイスくれよ!」と思われているはず(笑)。

松田ナビ:後輩は晋也のアドバイスほしいだろうな。オリジンは全員で集まってネタ見せするから、後輩から結構頼まれるでしょう。

晋也:頼まれますけど偏っているかも。「この人細かい!」と思われていそうです(笑)。



「せやろがいおじさん」効果で大阪ライブ大成功



松田ナビ:石垣島出身の晋也が、本島で芸人になったきっかけを教えてください。

晋也:高校卒業後、大学進学で本島に来ました。沖縄国際大学在学中に大学生コンビとしてオリジン入り。高校時代にお笑いはしておらず、音楽が好きでギターを弾いていました。芸人になったのは大学の同級生がオリジンに入っていて、ライブを見に行ったのがきっかけ。元々お笑いは好きだったので、その同級生に「ネタ考えたからライブでやってよ!」と、作家みたいな提案をしていました。相方の榎森もライブを見に来ていたので仲良くなり、「一緒にお笑いやりましょう!」と誘われてコンビを組みました。

松田ナビ:自然な感じで榎森と組んだんだ! 前のめりな榎森が作家気質の晋也を、引っ張り上げたわけね。

晋也:最初は断ったんですけどね。でも、一人でもオリジンに入ると榎森は言っていて、ピン芸人になった榎森から、ライブのお誘いメールが毎月送られてくるのは嫌だな~って思って、コンビを組んだ(笑)。

松田ナビ:それは嫌だな~(笑)。これは一緒に入るしかないってことで、2人でオリジンの門を叩いた訳ね。結成して割とすぐ「O-1グランプリ」の決勝に行ったんじゃない?

晋也:「O-1グランプリ」は 2回予選で落ちて3年目で決勝に行けました。受かった一発目は予選1位通過で、手応えありました!

松田ナビ:その時の2人のネタ、覚えてる。僕らがFECを辞めて内地に出ていた頃で、リップサービスっていうコンビが沖縄で頭角を現していると聞き、映像を見たのを覚えています。最初は榎森の関西弁が受け入れられなかったな~(笑)。

晋也:そういう人、多かったと思いますよ。最初の頃は「奈良県出身の榎森と石垣出身の晋也」って自己紹介していました。沖縄の人が関西弁を真似しているって思われるのは、絶対嫌だなって思って。

松田ナビ:でもリップは上手くて台本がしっかりしていて出始めた頃からウケていた。

晋也:まぁウケてた方かなって思います。芸人活動は、先輩のこきざみインディアンさんとのラジオがスタートです。

松田ナビ:イキがいい若手が入ってきた、ってことで抜てきされたのかな。リップってどっちもパワーあるけど、ネタを作る晋也はツッコミも考える?

晋也:ツッコミに関しては相方にお任せしています。フリがほしい時に「これだけは言ってくれ」とは伝えますけど。

松田ナビ:一応聞いておきたいんだけど、相方の榎森扮する「せやろがいおじさん」はどう思っていますか?(笑)

晋也:忙しそうですね(笑)。ものすごい影響力だなって感覚はあります。コンビでやった大阪ライブがせやろがい効果で満席。立ち見も出ました。ネタもしっかりウケたんですよ。

松田ナビ:沖縄でやっている芸人が、大阪でライブ開いて笑いを取るのはすごいこと! 榎森は「せやろがいでバズるようになって、晋也がめっちゃネタを書いてくる」って言っていたけど、本当ですか?

晋也:実はそうじゃなくて、僕がネタを頑張って書くようになったのは「ぼんじょるの」の大谷くんの影響なんですよ。彼らのライブにゲストで出た時、大谷くんが「今から新ネタ6本書きます」と言っていて、負けてられんなと思って。

松田ナビ:へぇ~!年下の大谷がきっかけとは!

晋也:彼に触発されて、エンジンのギアを一個あげた感じです。せやろがいおじさんの影響もありますが、2人でネタを書いてきてはいないので。

松田ナビ:それは感じます。リップのネタを見ていると、ツッコミはもちろん榎森の言葉って感じはするけど、ボケは晋也だって思うんですよ。ずっとそうだったってことでしょ(笑)。

晋也:そうそう(笑)。相方が忙しくなってペースを上げて調整していますけど、厳密にいうと「ぼんじょるの」の影響ですね。

松田ナビ:沖縄を離れ東京へ行った「ぼんじょるの」だけど、大谷はこの記事見たら喜ぶだろうな〜。リップは「お笑いバイアスロン」という賞レースで1回目は準優勝だったけど、2回目から四連覇。初優勝はどんな気持ちだったか覚えている?

晋也:覚えています。単純にうれしかったです。やっと賞を取れるタイミングが来たと実感できました。

松田ナビ:続けて3回優勝して見事四連覇。毎回うれしかっただろうけど、4回目はどう思った(笑)?

晋也:4回目はコントも漫才も自信がありました。でも、孤独というか「僕らが優勝して誰が喜ぶんだろう」という気持ちがあった。でも、番組的に四連覇してもOKなんだと驚きに近い気持ちになりました(笑)。

松田ナビ:そうなんだ(笑)。そこがリップのすごさで賞レースの番組なら、作り手も視聴者も新チャンピオンを見たい訳ですよ。その中での四連覇だから、本物の実力者じゃないと成し遂げられないと我々はリスペクトするわけです。2018年は準優勝でしたが心境は?

晋也:ちょっと悔しさはありましたが、ホッとする気持ちもありました。王者の座は取られましたが準優勝で役目を果たした気持ちでしたね。



面白さより上手さを追求




松田ナビ:事務所ライブのランキングも、実力者揃いのオリジンで数年連続1位をキープ!

晋也:2~3年、1位が続いていると思います。でも1位が毎月のように入れ替わった年に2位を守り続け、最終結果で1位になった事もありましたよ。

松田ナビ:全員が優勝を狙う賞レースは分かりやすいですが、事務所ライブで1位を維持できるのも素晴らしい。事務所ライブでは好きなネタで挑戦しているのか、毎月狙ったネタをしているのかどっちですか?

晋也:ある時を境に、観客目線ではなく自分たちが気に入っているネタを披露しても、点数が付くようになったんですよ。それまでは点数を取りに行こうと狙っていたんですが、それじゃいかんと思い直して。

松田ナビ:やりたいネタで1位をキープできるのは、「リッピサービス」というブランドが出来たって事じゃないかな。

晋也:毎月のライブで積み重ねる結果なので、常に1位じゃなくてもいいんですけどね。こきざみインディアンさんは、好きなネタを自由にやるから2位がいいって言って、出番も大トリは嫌がります(笑)。

松田ナビ:へぇ〜面白い。偉大な先輩が自由にやっているんですね。自分で気に入っているネタは何ですか?

晋也:「ボケ通信制限」。スマートフォンの通信制限と同じように漫才のボケにも容量があって、今月は前半にボケ過ぎて月末は思いつくのに時間かかる・・・ってやつ。

松田ナビ:思いつかないのではなく、時間かかるのか(笑)。発想が晋也だな〜。そのネタ、賞レースで披露されるだろうなって思っていたけど、なかったですね。

晋也:ライブで1回やっただけのネタは結構あります。基本的に漫才が好きなので、コントにはあまり思い入れがない(笑)。また、作りたてはウケなくても、後から引っ張ってきたら意外にウケたりもします。三段落ちはもう古い、というパズルみたいなネタも好きです。

松田ナビ:ちょっと寝かせた後にウケるネタは確かにあるかも。パズルみたいなネタはワクワクする。頭を使って見る必要があり、フランクに見たい人からすると評価が難しいけれどね。ボケ役の俺たちは常にボケる事を意識するけど、ボケの上手さを優先的に考えたりする?

晋也:はい!上手いボケになるように考えます。Twitterでもやりがちですが、「上手い事つぶやいたな、これはリツイートの数すごくなるぞ」って思っていたら、反応が良くないってのいっぱいありますね。

松田ナビ:あるよな〜(笑)。確かに盛り上がらないかもしれないけど、漫才になると段積みで見せることができる。だんだん理解して、「あ~そうか」って手を叩いて笑う。

晋也:でもそれだと破壊力がないんですよね。一発ドカンとウケたって感覚にはならない。

松田ナビ:「お~上手い」の「お~」は要らないんだけどね(笑)。晋也はやっぱりボケに関して上手い事を考えている。前からそうだろうなと思っていたので、今日はその答え合せがしたかった(笑)。

晋也:上手い事優先だと面白さも加えて考えるのは難しい。どこから行っていいか分からなくなりますね。それでも上手いボケにこだわって戦っています(笑)。

松田ナビ:お笑いにはいろんなボケがある中で、晋也らしいボケの上手さのテクニックがある。晋也はずっと一番って場所にいるプレッシャーはない?

晋也:プレッシャーはあまりなくて、最近は変化を入れるようにしています。例えば番組の進行台本を見なくなりました。見ると読み込んで覚えちゃうんですよ。何か変えてみたくて読まないと決めました。なので「ここでこの台詞言わなきゃ!」みたいなプレッシャーはありませんよ。

松田ナビ:なるほどね! 晋也が培ってきた「ちゃんとしていて取りこぼしがない人」というイメージを、壊しにかかったら面白い! だらしない人がそれを言うと怒られるけど、ちゃんとしている人が台本見ないのは何かいい(笑)。



武器は記憶力と脳内整理



松田ナビ:自分が思う、長所と短所を教えてください。

晋也:長所は記憶力がいいこと。昔は親戚の誕生日や円周率とか覚えていました。最近は事務所メンバーのボケをいっぱい覚えて、いじっています。稽古を盛り上げるためだけに記憶を使っているので、無駄使いってよく言われます(笑)。

松田ナビ:でも記憶力がいいのは強みになる。一番欲しい能力かも! あの時こんな話題があったっていうのを頭の引き出しに入れていて、几帳面だから脳内で整理しているんでしょうね。必要な時にエピソードを引っ張り出せるのは、ものすごい武器! 

晋也:細かくてちっちゃい引き出しを持っています。短所はいっぱいあるな〜。心配性というか行動力がない。何かにつけて腰が重いです。単独ライブをやる時、榎森はガンガン突っ走って行くんですけど僕はブレーキになるようなことが多い。心配になりあれこれ確認してしまい、ライブと同日の被っている他のイベントをめっちゃ調べます(笑)。

松田ナビ:ボケ役の人は意外にそうかも(笑)。

晋也:心配性なところは嫌ですね。ライブの時は荷物がめっちゃ多い。そんなに動かないくせに汗かいたらどうしようって着替えを持つし、頭痛や腹痛用など薬もいろいろ持ちます。一日の予定も細かく立てないと気がすまない。洗濯機回している間にこれやらなきゃとか、1時間空いたらどうしようって本を持ち歩いたりとか。無駄な時間は嫌ではないですが細かくやりたいので、ダラダラするにも全て決めてから(笑)。

松田ナビ:そこまでとは思ってなかった! 一日中何もしてなくて、気付いた時には「ちびまる子ちゃん」始まったとかってないんだ?

晋也:ないですね~。2年位前から、輪をかけて性格が細かくなった気がします。

松田ナビ:結婚してパパになったからかな。子どもができてお笑いへの向き合い方は変わりましたか?

晋也:子どもに見られたら恥ずかしいような芸風ではないので、大きくは変わりません。単純に生活リズムが変わり、その影響がある感じです。

松田ナビ:最後にこれからの展望を教えてください。

晋也:賞レース「M-1グランプリ」のファイナリストに勝ち上がって決勝に出たい。まだまだ遠いですが、これからの漫才作りはM-1に捧げてもいいかもしれません。コンビとしてM-1に狙いを定め、個人的にはそれに向けたネタを書いていきたいです。大学で現代文学を学んだのでいつか小説も書けたらいいな。ロケで面白い人になりたいとかいろいろありますけどね(笑)。

松田ナビ:全部できるマルチな人になりたい気持ちはありますね(笑)。結果を出しているからステップが見えやすいリップサービス。今日は「やっぱり晋也そうだった」と答え合せできた時間でした。





【対談を終えて・・・】

☆金城晋也 さん☆
この連載は読んでいますが、やっぱり話しやすいインタビューでした。初恋クロマニヨンさんは昔は怖いイメージでしたが、正さんがネタを書いていると知って親近感を持ったんです。新本さん相手だと上手く話せませんが(笑)、正さんとは楽しくお話できました。

☆松田ナビ☆
描いていた金城晋也のイメージを、答え合わせできた楽しい時間でした。本人が最近肩の力を抜いている部分があると言っていて、実際に感じる機会がありましたが、日が経つとさらにスゴイやつになる! 改めてそう思えた対談でした。




【プロフィール】


★金城 晋也(きんじょう しんや)/リップサービス

生年月日:1986年10月8日
身長/体重:170cm /67kg
出身地:石垣市
趣味:読書・スポーツ全般
特技:テニス
Twitter:@lipsin1008

 

★松田 正(まつだ しょう)

生年月日:1984年8月22日
身長/体重:178cm /70kg
出身地:沖縄県読谷村 
趣味:ソフトボール/漫画
特技:野球
Twitter:@hatsukoimatsuda

 



 


【インフォメーション】


◆オリジンお笑いライブ 喜笑転決◆

日時:2019年3月30日(土) 19時開演 会場:那覇市ぶんかてんぶす館4階 テンブスホール(マップはこちら
チケット:一般1500円/小学生1000円(前売り・当日共に)
出演:こきざみインディアン/ベンビー/リップサービス/じゅん選手/ノーブレーキ/しんとすけ他
問い合わせ:☎︎ 098-866-6118 〔オリジン・コーポレーション〕
公式サイト==> http://origin-oze.com



◆よしもと沖縄花月4周年4大キャンペーン◆
 

オープン4周年を記念して、3月より4大キャンペーンスタート!

【キャンペーン期間】3月1日(金)~3月31日(日)

その①中学生以下無料!
期間中、中学生以下のお客様は無料でご覧いただけます。(※一部対象外公演あり。当日券のみ)

その②4人で来たら1人無料!
4名以上でご来場のお客様は1名無料となります。(※一部対象外公演あり)

その③4周年記念特別公演
●3月9日(土)①13時開演 ②15時開演 ③17時開演 
出演:ハイキングウォーキング/アキナ/ライス/マテンロウ
【痛快!?たま子オバァがちょーんどー!】出演:宮川たま子/大屋あゆみ/初恋クロマニヨン/ピーチキャッス/SPゲスト:ハイキングウォーキング

●3月10日(日)①13時開演 ②15時開演 ③17時開演  
出演:ウーマンラッシュアワー/アインシュタイン/ライス/マテンロウ
【おきなわ新喜劇】ガレッジセール/ありんくりん/カシスオレンジ/A16/普久原明/田仲メリアン/宝眞栄日也美/仲地智子SPゲスト:具志堅用高

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那覇市前島3‐25-5 とまりんアネックスビル2階  電話:098-943-6244
公式サイト==>  http://www.yoshimoto.co.jp/okinawakagetsu




執筆:饒波貴子(フリーライター)

饒波貴子(のは・たかこ)
那覇市出身・在住のフリーライター。学校卒業後OL生活を続けていたが2005年、子どものころから親しんでいた中華芸能関連の記事執筆の依頼を機に、ライターに転身。週刊レキオ編集室勤務などを経て、現在はエンタメ専門ライターを目指し修行中。ライブで見るお笑い・演劇・音楽の楽しさを、多くの人に紹介したい。




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