リクエストに応え”映画の館”に再びGO!ワイン級??年代物のポスター続々と【島ネタCHOSA班】


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先月の「島ネタCHOSA班」に掲載された「よみがえれ銀幕の青春・上映会」。記事に出てきた、大城健栄さんの膨大な映画資料にとても興味があります。ぜひ大城さんのコレクションについて取材してください。

(宜野湾市 映画御宅さん)

2万点超えの映画資料に迫る!?

大城健栄さん。手に持つのは大城さんの映画人生に影響を与えた「赤胴鈴之助」のポスター

2月6日付の調査の続編の依頼が届きました。調査員も紙面で紹介しきれなかったのが惜しいと思っていたところです! 今回は「ティーダシネマコレクション」の大城健栄さんの膨大な映画資料に迫るため、再び映画資料館のようなご自宅を訪ねました。

懐かしの資料がずらり

水戸黄門関連の資料。右上にあるのが、大城さんのコレクションの中で一番古い1926年のポスター

約2万点以上の映画資料を所有している大城さん。ポスターにチラシ、パンフレット、チケットの半券、試写会招待状、プロマイドなどあらゆる資料を収集してきました。

一つの映画作品のポスターについても、オリジナル版と地方版、海外版と日本版、カラー版と白黒版など複数のバージョンをお持ちで、比べてみると実に興味深いです。

ジャンルもさまざま。洋画、邦画、時代劇、西部劇と幅広く収集。俳優別で見ても、クリント・イーストウッドや、アラン・ドロン、高倉健、石原裕次郎、市川雷蔵、吉永小百合、勝新太郎、三船敏郎……と往年のスターに関する資料も多数集めてきました。

沖縄関連の資料もポスターだけで300点以上を所有。「八月十五夜の茶屋」や「ひめゆりの塔」、沖縄が舞台の高倉健主演「網走番外地 南国の対決」、「キングシーサー」が登場する「ゴジラ対メカゴジラ」など貴重な資料が次々と出てきます。どんな切り口でも展示会ができそうです!

戦前のポスターも

沖縄が舞台のアメリカ映画「八月十五夜の茶屋」のポスター。日本版(左)とアメリカ版

コレクションの中で一番古いものを聞くと戦前の「水戸黄門」のポスターとの返答。なんと1926年のものです! シリーズで集めていて、日活版、松竹版など、水戸黄門関係だけでも100点前後あるというから驚きです。

大城さんのコレクター歴は40年以上。6、7歳の時に「赤胴鈴之助」を見て映画に魅せられたそうです。20歳で上京してから都内の映画館に通い詰め、ポスターやチラシ、半券集めにだんだんのめりこんでいき、生活費以外は映画につぎ込んだといいます。映画は大城さんの生きがいになっていき、「映画を見るために仕事をしていたと言っていいほど」だったとか。

収集方法を聞くと、「当時は古本屋などでも手に入ったし、コレクター仲間から買ったり、交換したりして収集していった」とのこと。数多く所有する試写会招待状も、新聞や週刊誌、テレビの抽選に何度も応募し、宛先の住所を覚えてしまうほどだったとか。

赤胴鈴之助関連の資料もたくさん!

かつて、妻の悦子さんと旅行に行った時も別行動で1人映画資料を探しに古本屋などに行っていたという大城さん。「食事も忘れて一日中古本屋にいた。お店の人は変な人と思っていたはず」と笑います。

妻の悦子さんも、映画好きの夫に巻き込まれて映画に詳しくなっていったそう。そうとうお金もつぎ込んでいますが、「しかたがないか、ここまできたらという心境」という悦子さん。映画を愛する夫のよき理解者です。

膨大な資料に囲まれて生活する大城さんは、頑張っているポスターたちに愛着があるといいます。「映画上映も終わり、役目を終えているけど、今もよろこぶ人もいる。ボロボロになりながらもけなげに生きている」と語ります。

貴重な資料を見させてもらい、終始興奮気味だった映画好きの調査員。育った場所も世代も違う大城さんと映画を通して語り合える貴重な経験ができました。あらためて映画の力を感じながら帰路に就いたのでした。

(2019年3月14日 週刊レキオ掲載)