親子で楽しむ! 野菜たっぷり体験ツアー


社会
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「親子で楽しむ!野菜たっぷり体験ツアー」で収穫した野菜を手に笑顔の参加者たち=4月13日、糸満市米須

「親子で楽しむ! 野菜たっぷり体験ツアー」(琉球新報社主催、キユーピー協賛)が4月13日、糸満市で実施された。県内各地から小学生と保護者24組48人が参加。講師を務めた野菜ソムリエ上級プロの徳元佳代子さんの畑で野菜を収穫した後、グループに分かれて調理を体験し、試食を行った。参加者はそれぞれ野菜に親しみ、食への関心を高めていた。

糸満市立真壁小学校に集まった参加者たちは、徳元さんからこの日収穫するブロッコリーとカリフラワー、キャベツについて学んだ。どれもアブラナ科でよく似た黄色い花が咲くとの説明に目を丸くしていた。
今回収穫する野菜は昨年12月に種をまき、今年1月に苗を植え付けたもの。徳元さんが「毎日様子を見て水や肥料をやり、虫や強すぎる太陽の光から守り、大切な子どものように育ててきた」と農家の思いを語ると、参加者は真剣な表情で聞き入った。

畑の恵み 親子で収穫

収穫体験を行う徳元さんの畑にはブロッコリーとカリフラワー、キャベツが実っていた。小雨が降りしきる中、レインコートや長靴姿の参加者は徳元さんのアドバイスに従い、気に入った野菜を親子で力を合わせて収穫。うまく包丁が入らず苦労して採れたキャベツの重さにびっくりする子も。「ブロッコリーってこんなふうにできるんだ」「虫が葉っぱの下に隠れているよ」。収穫しながら見つけた〝大発見〟に笑顔がこぼれた。畑に隣接するビニールハウスでは赤く色づいたトマトも収穫。参加者はより赤くておいしそうな実をじっくり選んでいた。

収穫の合間には採れたてのカリフラワーやキャベツを軽くゆで、マヨネーズをつけて試食。「甘い」「おいしい」と新鮮な野菜のおいしさに感激した様子で、次から次へと手が伸びていた。

野菜のおいしさ 存分に

収穫を体験した後、参加者は真壁小学校の家庭科室に移り、野菜をたっぷり使った徳元さんのレシピ「ざっくりキャベツのミートソース煮」と「鶏肉とまんまる野菜のマヨソテー」の2品の調理にチャレンジ。徳元さんは包丁の使い方や野菜の切り方を丁寧に教え、「鶏肉にマヨネーズを揉みこむと柔らかくなる」とおいしさアップのコツをアドバイスした。

マヨネーズや市販のドレッシングはサラダなどにかけるだけでなく、炒め物作りにも便利。手軽においしく調理できるマヨネーズソテーや、ドレッシングで味付けする方法も紹介した。

調理は6グループに分かれスタート。慣れた手つきで包丁を扱う子、親に手伝ってもらい野菜を切る子、みんなそれぞれのペースで楽しんだ。会場は食欲をそそる香りに包まれ、参加者は自ら作った料理を食べるとおいしそうににっこり。野菜のおいしさ、大切さを改めて実感した一日となった。

●野菜食べる機会に
東江郁さん(43)=那覇市=息子は小食で野菜をあまり食べないので、野菜を食べるよい機会と思い参加した。畑では泥んこになって収穫し、調理では率先して野菜を切っていた。家で料理を手伝うようになればと思う。
●家でも作りたい
朔(さく)君(7) ブロッコリーを収穫するのが難しかった。野菜をたくさん使う料理をするのは初めて。にんじんが固くて切るのが大変だった。自分で作ったものは美味しかった。また家で作ってみたい。

●農家の苦労知った
當間由賀さん(41)=那覇市=収穫は想像以上に大変で農家の苦労が分かった。家で娘と一緒に料理する機会はあまりないが、上手にできていた。炒め物にもドレッシングやマヨネーズを使えることを知ったので家庭でも試したい。
●収穫大変だった
朱莉(あかり)さん(11) 包丁を使ってキャベツを採るのが大変だった。調理実習は野菜を切るのが楽しかった。マヨネーズが油の代わりになるのに驚いたし、すごく美味しかった。家族にも作ってあげたい。

——  親子で楽しく食育を  ——
徳元佳代子さん・野菜ソムリエ上級プロ

野菜がどのように育てられているか実際に生産現場を訪れて見ることは大切です。お店にはきれいに洗われ、色も形も整った野菜が並んでいます。でも畑には虫食いがあったり、育ちすぎて商品にならない野菜も一定数あります。出荷できない野菜もあることを知ってもらうためにも、ありのままの畑の姿を見てもらっています。泥だらけになりながら親子で野菜を選び、収穫されていて、皆さん楽しそうでしたね。体験を通して収穫の喜びや農家の苦労を感じていただけたらと思っています。

野菜の収穫から調理までを体験することで野菜好きな子ども、料理のできる子どもが増えることを期待しています。野菜嫌いの子は「食べなさい」と言われることもストレスになります。体験を通して「食べてみようかな」という気持ちを育て、食べられたら大いに褒めてあげてください。また同じ年代の子ども同士で調理するこのようなイベントは貴重な機会。隣の子が調理したり食べているのを見て、自分も食べてみようという気持ちになります。親子で楽しみ、苦労し、味わうことが食育の第一歩となるでしょう。いつも料理を作ってくれる家族への感謝の気持ちも芽生えると思います。

料理は手をかけ時間をかけて作るものとされてきました。しかし両親ともに多忙な中、一生懸命作って負担を感じるよりは、簡単においしく調理するためにドレッシングや加工品をうまく活用し、食卓を彩るのも一つの方法です。子どもが苦手な野菜も味付けや切り方を変えれば食べられるかもしれません。工夫を重ねて家族で楽しく食卓を囲んでください。