このユニットは時代の産物、強力!-本村ひろみの時代のアイコン(6)Waters design factory(ライフスタイル・プロデューサー)山内真さん&亀島翔子さん&趙伊寧さん


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Kominternコミンテルン・とっくりの磁器を花器としてリメイク

ファッション雑誌をめくっては「トーキョー行きたい」と思っていた70年代。肩パッドの入ったジャケット着て前髪を立てていた80年代。今や世界中のカワイイ!をインスタグラムで眺める時代。音楽もファッションもインテリアも食も自分から遠い場所にあると思っていた時代は終わったと言っても過言ではない。それを作り出している若者たちがここ沖縄にも普通に近くにいる。

水のように

セレクトショップWaters ナチュラルな雰囲気の外観

今回紹介する「時代のアイコン」は3つのブランドを展開しているWaters。
セレクトショップ“Waters”は宜野湾市新城にある。

Komintern(コミンテルン)で一番人気の景徳鎮シリーズ。花はポピーやボタン、バラなど毎回変わる

磁器ブランド「コミンテルン」

ヴィンテージやデッドストックの古い磁器にシルクスクリーンのシートを一点一点切り貼りして焼く、という手作業のリメイクですべて一点物。価値の再定義をすることで大量消費に挑んでいく姿勢がデザイナーらしい。個人的にも懐かしさとポップの融合は好み。

シノワズリの巾着バッグは和服にも洋服にも似合いそう!

バッグブランド「SUI」(スイ)

中国で買い付けたジャガード生地とヴィンテージの帯締を使ってデザインしたオリエンタルなバッグ。

ファッションブランド「moguru」(モグル)

ナチュラルで日々を楽しむ雰囲気のお洋服。シンさんと翔子さんがデザインして中国で縫製している。

3つのブランドは、いずれも水にちなんだネーミング。孟子の「水の低きに就くが如し」に由来している。水のように自由自在、柔軟に動いて自然の成り行きに身を任せる、それがWatersのコンセプトになっているそうだ。

亀島翔子さんと山内真さんの出逢いは友人の紹介。もともとファッションやデザインでクリエイティブな仕事をしていた2人は2016年から一緒に活動を始め、そこに中国から琉球大学へ留学していた趙伊寧(チョウ・イ・ネイ)さん(福建省福州出身)が加わりこのユニットが誕生。そして中国での「ポップアップショップWaters」キャラバンが始まった。

中国のポップアップショップにて。(写真右から)趙さん、山内さん、亀島さん
Watersの3人を友人が描いたイラスト
山内真さん(左)と亀島翔子さん(右)

沖縄のいいもの アジア、世界に

最初は2018年2月、趙さんが見つけコーディネイトした中国深圳(シンセン)市で人気の家具屋さんのイベントに参加。オリジナルの商品やアクセサリーを展示販売して話題になり、その2ヶ月後には上海で話題のジューススタンド“grooow”(グロー)で10日間のポップアップショップを開催。そしてすぐに湖南省での出店と勢いよく展開。集客は日本や中国のSNSを使って拡散、まさに時代の波に乗っている。オリジナルの商品だけでなく、意欲的に沖縄のいいものや若手の作家の作品も展示しているそう。

大盛況だった深圳(シンセン)市でのイベントの様子
中国語の湖南省イベントフライヤー

湖南省でのキャラバン。翔子さん(左)と会場のオーナーの女性

知らない土地で、それも海外での集客がこれほど成功したのは、山内さんが中国とイギリスの大学で学んだ経験があり語学には困らなかったこと、趙さんという中国出身で中国の若者の感覚に精通している仲間がいたこと。そして何より3人が今の自分達の置かれている場所を楽しんでいることに尽きる。

企画・演出を担当する亀島さんは「ナチュラル感」「素朴な印象」「いびつさ」をイメージして店舗を作る。Watersはこの一年で6回アジアへ渡り、確実にブランドを定着させている。そして次は四川省でのキャラバンも控えている。

中国での出店やニューブランド(雨中水箱/雨香)の立ち上げと、多忙な日々を送っているWatersなのに、宜野湾の店舗に行くとゆったりとした時間が流れている。なんだろう、この時空の独特な雰囲気は。3人はよくケンカもするらしい。でもケンカの後も次の企画の話で盛り上がる。私は窓際のソファーで緑茶を頂きながらWatersの未来を夢みた。

7月には店舗でアート系のイベントを企画中!詳しくはインスタグラムを要チェック。そのあとキャラバンは中国の武漢市&四川省へ。

Waters
http://journal.waters.asia

instagram → waters.okinawa

【Waters design factoryプロフィール】

山内真(やまうち・しん)
1982年 読谷村出身
県立那覇国際高校から北京の清華大学へ進学。設計・デザインを学んだのちロンドン芸術大学でファッションデザインを学ぶ。卒業後ロンドンでメンズファッション関係の仕事を経験。東京で商社勤務を経て2013年独立。

亀島翔子(かめしま・しょうこ)
1987年 嘉手納町出身 嘉手納高校から北九州市立大学で心理学を学ぶ。
卒業後はアパレルH.P.Franceにてショップマネージャーを6年勤め帰沖。2016年よりWaters design factoryで活動スタート。

趙伊寧(ちょう・い・ねい)
福建省福州出身 23才。未来は未知数。

【筆者プロフィール】

本村ひろみ

那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学造形芸術科修了。
ラジオやテレビのレポーターを経てラジオパーソナリティとして活躍。
現在、ラジオ沖縄で「ゴーゴーダウンタウン国際通り発」(月〜金曜日 18:25~18:30)、「 WE LOVE YUMING Ⅱ 」(日曜日 19時~20時)を放送中。