奇跡の体~1人の妊婦がマタニティフォトに込めた願い~

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「妊娠中の体は『魂の入れもの』になる。肉体的にも精神的にも、赤ちゃんに支配される感覚。1つの体に2つの心臓があるって、神秘だし奇跡だと思うんです」。

 那覇市で生まれ育った宮城芽依夢(めいむ)さんは2019年6月半ば、3回目となる出産を目前に、臨月の裸体をマタニティフォトに残した。


「ENERGY」の1作品(撮影・金城良孝)


ポーズに込めた思い



宮城芽依夢(めいむ)さん

妊娠中の姿を撮影するマタニティフォトは近年、珍しいものではない。ただ、宮城さんのそれはファンタジーな印象が多い一般的なマタニティフォトとは一線を画している。出産間近とは思えない、アクロバティックなポーズを写しこんだ作品群。命を宿した女性の体の不可思議さ、たくましさ、そして生命体の美しさを目の当たりに、思わず息をのんでしまう。

宮城さんは数年前、大人になってからのいじめに苦しみパニック障害を経験した。妊娠中や子育て中の女性が、感情をコントロールできずに不安やイライラ感にさいなまれることも、身を持って知っている。マタニティフォトでありながら、伝えたいのは単なる妊娠の喜びではないという。

「不妊に悩む人も、子育てに悩む人もいる。産む、産まないではなく、自分がどう生まれてきたのか、今ここにいる『私』を感じることの大切さを伝えたい」と願いを込める。


金城良孝さん(2019年8月、アムステルダム)

撮影したのは、那覇市を拠点に活動するフォトグラファーの金城良孝さん。
妊娠中、女性の体は驚くばかりの変化を遂げる。乳首は黒ずみ、胎児の成長と共にへそがひっくり返ることも。腹にスイカのような肉割れ線が入る人も少なくない。

「妊娠すると新しい生物になる。体内に別の命を宿すわけですから。でもそれは奇跡。キレイなだけではない女性の体を撮影したい」。そう考えていた金城さんと、「胎動に支配され、本当の自分じゃない今の私を残しておきたい」と願う宮城さんを、共通の友人がつないだ。



記念ではなく、経験を残したい



メーンの撮影場所は玉城村の百名ビーチ。琉球の地を創ったとされる「アマミキヨ」が降り立ったと伝えられる場所に立つ石碑「ヤハラヅカサ」を臨む場所。

モデル業もやっている宮城さんだが全裸での撮影は初めて。「自分だけの体じゃない、自分が主役じゃないと思っていたから恥ずかしさはなかった。撮影中は海や自然が、両手を広げて迎え入れてくれた感覚で、まさに『宇宙セッション』でした」と振り返る。

「記念ではなく経験を残したい」という宮城さんの願いに共感し、撮影を引き受けたという金城さん。「妊婦の体は『未完成な完全体』。一つの体の中に二つの命があって、過去と現在と未来がつまっている。こんなに美しい状態はない。完璧に循環したコミュニケーションを表現したかった」



アートを通じ、上質なコミュニケーションを



マタニティフォトの撮影から約2週間後の6月30日、宮城さんは第3子となる男の子を出産した。作品の中で「同じ入れもの」に入っていた命は、新しい人生を歩み始めた。

金城さんと宮城さんは今回のマタニティフォトを、個展「ENERGY」(2019年8月17~24日)として開催する。初日には2人でトークイベントも行う予定だ。金城さんは「アートを通して上質なコミュニケーションを創りたい、というのが自分の目標。いい循環のコミュニケーションは、きっと誰かの役に立つと思う」と話す。



金城良孝写真展「ENERGY」

◇日程:2019年8月17日(土)~24日(土)
◇時間:午前11時~午後6時
◇場所:Zero dimension studio(プロ機材ドットコム内スタジオ)
    ※那覇市鏡水1-1 フリートレードゾーン
◇問い合わせ:kinjyoyoshitaka@gmail.com
◇入場料:¥2000(ワンドリンク)

※17 (土) 12:00〜、被写体である宮城芽依夢さんとのトークショーを開催。
イベント詳細はフェイスブックページを参照。
 ↓
https://www.facebook.com/events/494772391285259/?ti=icl



この記事を書いた人


佐藤ひろこ(さとう・ひろこ)
琉球新報社勤務。2019年4月から販売部門を担当。目下の課題は「新聞&ウェブ&リアル(←今ココ)」。記者時代は特に沖縄の子どもたちを取り巻く諸問題に関心を持って取材してきました。この数年は「働き方」「生き方」の見直しに挑戦中。




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