「私たちはテレビの中だけにいるのではない」 YouTuberのかずえちゃんがカミングアウト動画を配信するワケ

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性的マイノリティーの当事者がカミングアウトする動画を配信するかずえちゃん=那覇市泉崎

 LGBTなど性的マイノリティーの当事者が短いメッセージを発する動画「LGBTQ100人のカミングアウト」が、動画投稿サイト「ユーチューブ」で再生回数32万回を超えるなど共感を呼んでいる。撮影・編集を手掛けるのは、ゲイでユーチューバーのかずえちゃん(36)=本名・藤原和士さん、福井市出身。9月1日のピンクドット沖縄に合わせて来県しており、8月30日から県内で初めてLGBT当事者の撮影を始めている。

 かずえちゃんは2016年7月、ユーチューブでの動画配信を始め、8月30日現在のチャンネル登録者は7万8千人を数える。

 10月11日の「世界カミングアウトデー」に合わせ、17年から毎年「LGBTQ100人のカミングアウト」を配信。ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダーなど多様な性を持つ100人余りが出演し、5~10秒でこんなメッセージを発している。

 「『人としてあなたが好きだから』。その言葉で救われました」
 「今の自分で生まれて、めちゃめちゃ幸せです」
 「私は私」
 「一人一人が特別な存在だということは、何も特別なことではありません」

 8月30日現在、17年版は25万回超、同性愛を公表した勝間和代さん(評論家)やロバート・キャンベルさん(日本文学研究者)らも出演した18年版は、32万回を超える再生回数となっている。


かずえちゃんのユーチューブ動画「LGBTQ100人のカミングアウト2018」の一場面。ゲイのカップルが笑顔で幸せを語っている

 コメント欄には、LGBT当事者やそうでない人からも「なぜか勝手に涙が出ていました。悩んでいた高校生の私に見せてあげたいなぁ」「うまく言えないけど、すごく素敵」「学校の授業で使ってほしい」など共感の声が並んでいる。

 かずえちゃん自身、長い間、周囲にカミングアウト(表明)できず、苦しかった過去がある。「うそをつくのが、すごいストレスだった」。同性婚が05年から認められているカナダで生活し、「ゲイを隠さずに生きたい」と思うようになった。「友達が離れていったらどうしよう」との恐怖感もあったが、15年の世界カミングアウトデーでカミングアウト。友人らは素直に受け入れてくれたという。

 性的マイノリティーの当事者に、カミングアウトを強制しているわけではない。カミングアウトしない選択肢もあっていい、と言う。一方で「できる人が声を出さないと、存在自体がないものにされてしまう。私たちはテレビの中だけにいるのではない」との思いがある。

 これまで400人近くのカミングアウトに立ち会ってきた。19年版も既に仙台市、東京都、香川県丸亀市で収録し、60人近く集まっている。初めての撮影となる沖縄では、9月1日までに10人ほどがカメラの前に立つ予定だ。ピンクドット沖縄の様子も、ユーチューブで配信するという。

 出演者は動画で堂々と、爽やかに自らを語る。かずえちゃんは「セクシュアリティー(性のあり方)は人を構成する要素の一つで、みんな同じ人間。悩んでいる子どもたちに『何も悪いことはしてないよ。たくさん仲間がいるよ』と届けたい」と強調し、動画配信を続けるつもりだ。「カミングアウト」。その言葉に特別な響きが無くなるまで。(真崎裕史)




◆性的少数者(LGBT)やすべての人が生きやすい社会を目指すイベント「ピンクドット沖縄2019」9月1日(日)午前11時~午後5時、那覇市泉崎の琉球新報社エントランス広場で開かれる。
7回目の今年は台湾で同性婚を実現させた活動家の呂欣潔(ジェニファー・ルー)さんが参加する特別トークセッションのほか、音楽ライブが行われる。イベントを前に関連記事を順次公開していきます。


 




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