近くにいる大人ができること【レインボーハート】


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先生たちが子どもたちに「LGBT・性の多様性」をどう教えるかをテーマに8月20日、浦添市でワークショップを開きました。28人の先生たちが参加し、与那国からわざわざ参加してくださる先生もいて、関心の高さを感じました。

実際に小中高校それぞれの先生に、模擬授業形式で授業内容を発表していただきましたが、受講された先生たちから「非常に参考になった」という感想がたくさん寄せられました。

LGBTは人口の約5%といわれ、40人クラスでは2人程度はいると推計される身近な存在です。

若くして自覚する子どもたちも多く、「性別違和」は多くが小学校入学前から感じ始め、同性を好きになることをなんとなく自覚し始めるのは、平均して中学校入学頃という調査結果もあります。

一方で、当事者の子どもたちは「友達に変だと思われるのではないか」「気持ち悪いと言われないか」といった不安を抱き、自分を受け入れられなかったり、学校でも誰にも相談できず一人で悩むこともよくあります。深刻な場合、自殺を考えたり、自傷行為をしたりするなど命に関わる状況になることさえあります。

子どもたちが「LGBT・性の多様性」について正しい知識を持つことは、こうした当事者の命を救うことにさえなるのです。

模擬授業を通じて、小学校低学年からどう教えるかを先生たちと考えました

学校で私のような当事者が子どもたちに講演し、理解の輪を広げることも大切ですが、年に1回程度の限られたものです。それ以外の日、学校で一番近くにいる大人は先生たちです。

その先生たちが「LGBT・性の多様性」を伝えられるようになれば、子どもたちの理解はもっと広がるでしょうし、先生が理解してくれていると分かれば相談してみようと思う子どもも増えると思います。

他方、こうした授業の前例は少なく「どこまで踏み込んでいいか分からない」「発達段階に合わせてどんな教え方ができるか知りたい」といった声をよく聞きます。

今回のワークショップでは小学3年生の担任の先生にも授業実践を発表いただきました。「子どもたちの反応が心配だったが、子どもたちは柔軟に受け入れていて驚いた」とおっしゃっていました。大人が心配するよりも、子どもは柔軟なのだと思います。

ワークショップでは私も講師となり、道徳や特別活動の学習指導要領で「LGBT・性の多様性」の授業がどのように位置づけられるかもお伝えし、先生たちは実際に授業作りにもチャレンジしました。

これからも沖縄でこうした授業が広がるよう、先生たちと連携しながら取り組んでいきたいと思っています。

(2019年9月3日 琉球新報掲載)

 竹内清文(たけうち・きよふみ) 岡山県津山市出身、沖縄県在住。レインボーハートプロジェクトokinawa代表。LGBTをテーマに学校講演会を数多く行う。