自然が生み出す神秘のデザイン 世界中の貝がうるま市に【島ネタCHOSA班】


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先日、うるま市立海の文化資料館に行ったら、入り口のそばに「仲原正和の貝類コレクション」という小さなコーナーがあり、コレクションの一部が展示してありました。パンフレットによると3千点の貝を同館に寄贈したそうです。仲原さんのことが知りたいです。

 (南城市 シェルル・クローさん)

うるま市立海の文化資料館に3000点もの貝を寄贈した仲原さん、気になります! 同館に協力をお願いすると、仲原さんに連絡を取ってくれ、会ってもらえることに! さっそく現場に向かいました。

集めた数は約6千点

案内された部屋に入ると仲原さんと海の文化資料館の職員の方々が出迎えてくれました。そして部屋中には収蔵庫から出してきたという色とりどりの貝がずらりと並んでいます。今回は整理作業もかねて、特別に出してくれたとのこと。調査員感激です。

仲原さんはもともとは航海士。うるま市与那城の平安座島に古くから伝わるタコ捕りの名人としても知られています。9月下旬から11月にかけて「ンヌジベントウ」というイモ貝でできた漁具を使ってンヌジグヮーと呼ばれる小さいタコを捕っているそうです。

これまでに「国内外の貝を約6千点収集してきた」と仲原さん。収集歴は20年以上に及ぶそうです。

仲原正和さん。手に持つのはリュウグウオキナエビスガイ

貝を集め始めたきっかけは、「スキューバダイビングが趣味だった兄の家に行った際、ホシタカラガイを5~6個もらったこと。貝の斑紋(はんもん)や色彩などが個体により異なっていることに気付き、自然が生み出す神秘のデザインに引かれていきました」と振り返ります。

その後、さまざまな貝を水族館の通販や収集家などから購入したり、時には素潜りで自らとったりしながら収集していったという仲原さん。コレクションの中には名宝と呼ばれる希少な巻き貝、タカラガイもあります。日本の三名宝と呼ばれるテラマチタカラガイ、ニッポンタカラガイ、オトメタカラガイの3種の他、世界の三名宝と呼ばれるオウサマタカラガイ、シンセイタカラガイ、サラサタカラガイなど希少な貝も集めてきました。

これまで集めた貝の中でも一番のお気に入りはバライロセンジュガイという仲原さん。その魅力は「とげの荒々しさとその色合い」と話します。今回、ご自宅から特別に持ってきてくれましたが、ゴツゴツとした殻がユニークでとげの先端のピンク色が印象的。他の貝とはまた違った魅力があります。

多くの人に見てほしい

定年後にほとんどのコレクションを同館に寄贈したという仲原さん。それまでは「家中に貝が飾ってあった」と振り返ります。

航海士だった頃の仲原さんは、長い航海の後、自宅で過ごす貝たちとの時間を楽しんでいたそう。「貝を陳列した棚の前に座り、各々違う貝たちに『自分が一番美しいと主張しあっているのだろうね』と語りかけていました」とほほ笑みます。

情熱を注いで集めた貝の多くを手放した仲原さん。現在ご自宅に残っているのは約100点のみだそうです。「集めてきた貝が地域の資料になればいいと思っています。自分一人のためではなく、多くの人に見てもらえれば」と願っています。

仲原さんが収集した世界の三名宝。(左から)オウサマタカラガイ、シンセイタカラガイ、サラサタカラガイ
バライロセンジュガイ
収蔵庫に保管されていた貝のコレクション

現在、うるま市立海の文化資料館ではコレクション整理作業中のため、展示しているのは日本と世界の三名宝などごく一部の貝のみ。来年度以降に企画展として多くのコレクションの展示を実現できたらと同館の職員の方も話していました。以前大がかりな展示をしたときは県内外からマニアが集まったとか。ぜひ、たくさんの貝をまた披露してほしいですね。その際は、弊紙「あまくま情報局」でお知らせしますので、楽しみにしていてください!

(2019年9月5日 週刊レキオ掲載)