インバウンド対応Q&A♪  これからは「食」もダイバーシティへ

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プレビュー


今やハワイと肩を並べる観光県となった沖縄。国外からのお客様を多くお迎えしていますが、旅行者にとって大事なポイントである「食事」の面では、沖縄を楽しんでもらえているのでしょうか。沖縄県と(一財)沖縄観光コンベンションビューローでは、外国人観光客受入体制強化の一環としてムスリムやベジタリアンの方々に対する食の受入体制を整備しています。誰もが安心して沖縄の食事を楽しむことへの知識と、対応事例を紹介します。



フードダイバーシティって?


日本語では「食の多様性」を意味します。


世界には、特定の食品を口にしない・してはいけないという制約を持つ人々がいます。宗教の戒律、個人の主義や医療上の理由など、食の制限の内容や背景はさまざまですが、違いを超えて、誰でも楽しめる食を提供することが、観光業・食品製造業で課題となっています。


最近よく耳にする「ハラール」について教えてください。


ハラールとは、「イスラーム法で許されたこと」を意味し、食事においてはイスラム教徒(ムスリム)が口にしてよい食品を指します。


野菜、果物、海産物、乳製品のほか、牛や羊、鶏などは食べることが許されています(豚肉は禁止)。ただし、牛や羊、鶏であっても戒律に従って屠殺されたものである必要があります。食品や調味料に豚肉やアルコールが成分として含まれることもあるので、成分を確認しハラールかどうか判断します。


ムスリムの皆さんをうちの飲食店にお迎えしたいけれど、ハラール認証を取らないとダメなんですか?


必ずしもハラール認証を取る必要はありません。


実は、ムスリムの皆さんの間でも、どのレベルまでハラールの徹底を求めるかは、個人によって異なります。同じ食材や調理法であっても、人によってOKであったり、NGであったりする場合もあります。ですから、自分たちの対応できる範囲を決めてみることも一つの方法です。

ただし、ムスリムの方が判断できるよう、正確な情報を提供することは必須。「このレベルまでは対応している」というポリシーを日本語と英語を併記した紙にまとめておき提示するのがオススメです。今使っている食材や調味料がハラールかチェックしてみましょう。


ハラール食ってどんな料理? イメージがわきません。


誤解されがちですが、「ハラール食」という特別な料理のジャンルがあるわけではありません。例えば和食であっても、ハラールの戒律に合わせて調理すれば、ハラールの和食になります。洋食でも、中華でも同様です。


豚肉を避け、ハラール肉を使用し、調味料をアルコール・豚肉由来成分未使用のものに替える、調理器具を分けるなどの工夫次第で、ハラールの食事を提供できます。ハラール認証の付いた肉は県内でも業務用スーパーなどで入手可能です。 


イスラム教以外にも、宗教による食の禁忌(タブー)はあるの?


宗教によって食の禁忌があります。


例えばユダヤ教にはコーシャと呼ばれる食の禁忌があり、ヒンドゥー教では牛肉、仏教では宗派により肉食が禁止されるなど、内容はさまざまです。


台湾にはベジタリアンが多いって本当?


はい。台湾は人口の13パーセントがベジタリアンで、素食(そしょく)と呼ばれる精進料理が普及しています。


台湾の仏教徒の中には、ネギをはじめとする香りの強い野菜(=五葷(ごくん))を控える人も多くいます。飲食店などの現場において、ネギやニンニクNGのリクエストを受けるといったケースがよくあり、実はそれは「好き嫌い」によるものではなく「宗教」の教えのひとつであるという理解が必要です。



なぜフードダイバーシティが注目されているの?


沖縄を訪れる外国人旅行客は年々増加しており、特に東南アジアからの旅行客の数は平成28年度から29年度で約2倍に急増しています。マレーシア、インドネシア、シンガポール、タイの国民には、一定の割合でムスリムが含まれるので、ムスリムの観光客も増えていると考えられます。

さまざまな食習慣を持つ人々が食べたいと思う食事を提供できなければ、旅行への満足感が下がり、リピートにつながらないかもしれません。また、消費単価にも影響してきます。



事例紹介

株式会社 南都

おきなわワールドを運営する株式会社 南都では、約20年前から、精進料理や食品アレルギーなどの対応を進めてきました。18日(月)には、那覇空港内に、ムスリムも含め食の多様性への配慮をコンセプトにした丼専門店をオープンさせます。



南都執行役員・レストラン部支配人の田仲貴志さんは、「おきなわワールドでは、もともと台湾の仏教関係のお客さまが多く、五葷フリーの精進料理が求められていたんです」と話します。

10年ほど前からは、学校からの問い合わせが増えてきたため、食のアレルギー対応も進めてきました。

「最初はよく分からなかったのですが、勉強しながら少しずつ整理していきました」と田仲さんは振り返ります。その結果、おきなわワールド内のレストラン「健康バイキング ちゅら島」のブッフェには、それぞれのメニューに7大アレルゲンや五葷が含まれるかどうか、ピクトグラム(視覚記号)で分かりやすく表示するようになりました。

要望があれば成分表を提示し、重度のアレルギーを持つゲストには予約制で特別食を提供するなどの対応も行っているそうです。




おきなわワールド内のレストラン「健康バイキング ちゅら島」のブッフェでは、それぞれのメニューに7大アレルゲン、豚肉、五葷が含まれるかどうか、分かりやすく表示されています(五葷を含まないメニューには「素食」と表示されています)


ムスリムフレンドリーな丼専門店をオープン


株式会社南都 執行役員・レストラン部支配人の田仲貴志さん

那覇空港際内連結ターミナルの運用開始にあわせ、18日にオープンする「丼 なんと屋」は、食の多様性へ取り組んできた同社のノウハウを生かした丼専門店。海鮮丼や天丼など提供するメニューは「すべてムスリムフレンドリー」と田仲さん。

牛肉、鶏肉はハラール認証を受けたものを使用し、アルコールや豚肉由来の成分を原材料に含む調味料を使わないなどの工夫で、ムスリムフレンドリーなメニューを実現しました。

「大切なのは、お客さまが判断できる情報をはっきり提示すること」。ハラール認証は取得していませんが、事前に定めたムスリム対応ポリシーを一枚の用紙にまとめ、提示できるように準備しています。

ポイントをおさえれば対応は難しくない

「味付けも、日本人が食べておいしいと感じるのが基本」。ムスリム対応に特化するというより、ムスリムも含め、誰もが安心して食事を楽しめることが主眼、と田仲さんは解説します。

田仲さん曰く、「ポイントをおさえておけば、ムスリム対応はそれほど難しいことではありません」。事前にポリシーやシステムを整えておけば、現場のオペレーションの混乱も避けられるそうです。



本記事に関する問い合わせ先

一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー 誘客事業部海外プロモーション課担当 安仁屋
(電話)098-859-6127




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