子宮頸がんワクチン:被害者の連絡会・大阪支部18日発足


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 子宮頸(けい)がんワクチン接種後に痛みやけいれんを訴える女性が相次いでいる問題で、被害者らで作る全国連絡会の大阪支部が18日、発足する。関西での支部設立は初めて。代表に就任する東大阪市の橋本夕夏子(ゆかこ)さん(40)は、約2年半前に接種した長女(18)=高校3年=が痛みや倦怠(けんたい)感に苦しむ。橋本さんは「『心の病気』などと突き放され、悩む被害者も多い。情報交換や勉強会などを通じて被害者で連携したい」と話している。

 子宮頸がんワクチンは2009年12月~今年3月末に約338万人が接種し、約2500人の副作用報告が厚生労働省に寄せられた。厚労省は昨年6月から接種の積極的な呼びかけをやめ、希望者への接種は続いている。厚労省の検討会は「接種時の痛みなどが原因の心身の反応」との見解をまとめたが、原因は解明されていない。
 橋本さんの長女は12年3月、3回目のワクチン接種後に指や膝など全身の関節が腫れて痛み始めた。疲れやすくなり、すぐに発熱したり手足のしびれや記憶力の低下、重い倦怠感に悩まされたりした。原因が全く分からず悩んでいたが、昨年秋にニュースで他の患者の例を知り、ワクチンが原因と思い至った。
 今年1月、めまいと頭痛で起き上がれなくなり、それから学校も休みがちになった。「学校に行きたいのに、『休みたいだけじゃないか』などと先生や周囲に分かってもらえなかったのがつらかった」と振り返る。看護師になる夢も諦めた。
 橋本さんは今年1月、「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」(東京都日野市)に相談。長女と同様の症状を抱える人たちと情報を交換し、救われることが多かったという。大阪や和歌山、奈良、兵庫にも失明やけいれんなど重い副作用に苦しむ被害者が多いと知り、大阪支部の代表就任に応じた。
 同連絡会にはこれまで、全国から約1100件の相談が寄せられたという。大阪支部は全国8カ所目。連絡会の池田利恵事務局長は「被害者は医療機関や学校の理解を得られず、地域で孤立しがちだ。関西には潜在的な被害者が多いはずで、大阪支部が地域の核になる」と期待する。
 大阪支部は発足日の18日正午から、東大阪市役所で子宮頸がんワクチンの勉強会を開く。入場無料。勉強会や支部に関する問い合わせは、事務局役を務める予定の柿花道明・大阪府吹田市議(090・2068・6812)へ。【斎藤広子】
(毎日新聞)