【南城】ウークイ(旧盆最終日)翌日の19日、南城市知念の知名や久手堅、安座真で「ヌーバレー」が開かれた。「ヌーバレー」は仏の魂をあの世へ送り、五穀豊穣などを願う伝統行事。各区では道ジュネー拝所巡りを行った他、地域に古くから伝わる組踊や舞踊を披露し、区民を楽しませた。ヌーバレーの様子を紹介する。
(普天間伊織)
<知名>「胡蝶の舞」軽やかに
南城市知念知名区(前城隆区長)のヌーバレーは200年あまりの伝統を誇り、文化行事に区内外から多くの人が訪れた。
長者の大主を先頭に道ジュネーが行われ、日が沈んでからも特設ステージで舞踊やエイサーが披露された。演目は20を超え、区伝統の「胡蝶の舞」では、色とりどりの羽を広げて軽やかに飛び跳ねる独特の踊りが観客を楽しませた。
中腰の姿勢で繰り返し跳ねるため、若者を中心に毎年練習が重ねられており、今年は平均年齢21歳の青年8人が特訓の成果を見せた。
「仲里節」では、花笠をかぶり色鮮やかな衣装に身を包んだ女性たちが四つ竹を鳴らしながら華やかに舞った。
知名区は2022年死去した琉球古典音楽の人間国宝、照喜名朝一さんの出身地でもあり、舞台の最後には照喜名さんが作曲した「知念村民音頭」を会場に集まった全員で踊った。前城区長は「照喜名朝一先生が残してくれた文化を大切に継承していきたい」と述べた。
<久手堅>組踊「鏡の割」 叙情込め熱演
南城市知念久手堅区(仲里武義区長)は区公民館でヌーバレーを開催した。PTAによるダンスや知念児童館空手サークルの子どもたちによる空手演舞、ブラスバンドジャズ演奏や琉球民謡ショーなどバリエーション豊かな演目で、集まった区民たちを喜ばせた。
区独自の組踊「鏡の割(カガンヌワイ)」では、生き別れになったわが子と再会する女性の役を区民の平山千之さんが叙情たっぷりに演じた。今年で5度目の女役となる。区民はもちろん、かつての住人や市外からの観客も多く訪れ、舞台の上の区民らに盛大な拍手を送った。
<安座真>神アサギで願い踊る
南城市知念安座真区(金城幸秀区長)のヌーバレーでは、村中央の神アサギで若者たちが歌三線に合わせて踊り、五穀豊穣などを願った。仲間たちと共に道ジュネーで区内を練り歩いた城間凜さん(19)は「地域を盛り上げたいという思いで今日のために練習してきた」と顔を紅潮させた。
舞台では伝統芸能保存会が「長者の大主」「谷茶前」「鳩間節」を披露したほか、PTAの小中学生らによる子どもエイサーも会場を盛り上げた。