Q 日本芸術院(野村萬院長)は22日、「組踊立方」人間国宝の宮城能鳳さん(85)=与那原町=を県出身者で初めて日本芸術院の会員に選んだと発表したよ。日本芸術院って何かな。
A 日本芸術院は各分野の優れた芸術家をたたえる、国の栄誉機関です。1919年に帝国美術院として発足し、47年に日本芸術院に名称を変更しました。
主な仕事は(1)芸術の発達に寄与する活動、芸術の重要事項に関して審議、文部科学相または文化庁長官に意見する(2)会員以外の卓越した芸術家に毎年、恩賜賞と日本芸術院賞の授与(3)所蔵作品の公開、日本芸術院賞受賞作品展、会員による講演会―などです。
院長1人と会員(終身)120人以内で構成されます。会員は3部会(美術、文芸、音楽・演劇・舞踊)の18分科に所属します。部会の推薦(選挙)と総会による承認で選ばれ、文部科学相が任命します。2月9日現在、会員は97人です。3月1日付で、宮城能鳳さんを含め新たに12人が会員になります。会員は非常勤の国家公務員として国から年250万円の年金が終身支給されます。
会員を巡っては、2021年度から対象分野を広げるなど選考方法を見直しました。それまで新会員は、会員のみの推薦と投票で選んでいました。対象となる分野も硬直化し、新たな分野で活躍した人が会員になれず、閉鎖的と批判されていました。日本学術会議を巡る国会質疑でも取り上げられ、文化庁が有識者会議を設置して選考方法の見直しを進めました。
現在、新会員の選出には、現役会員と外部有識者が候補者を選考し、現役の会員が投票で選びます。「デザイン」や「写真・映像」「映画」も対象分野になりました。21年度には「マンガ」から初めて、つげ義春さんとちばてつやさんの2人が会員となりました。今回の12人の中にも漫画家の萩尾望都さん(74)が選ばれました。