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経営統合協議を中断 キオクシア・WD 韓国SK不同意


経営統合協議を中断 キオクシア・WD 韓国SK不同意 キオクシアとウエスタン・デジタルの統合の構図
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 東芝の半導体事業を前身とするキオクシアホールディングス(HD、東京)と協業先の米ウエスタン・デジタル(WD)が、経営統合に向けた協議を中断したことが27日、関係者への取材で分かった。キオクシアに間接出資する韓国のSKハイニックスが同意しないなど、統合の条件がそろわないためだ。半導体メモリーで韓国サムスン電子と並ぶ世界最大規模の会社を目指したが、暗雲が垂れ込めている。
 スマートフォン向けなどの需要低迷で、半導体メモリーの市況は悪化している。統合が実現しなければ、経営の合理化で生き残る戦略は練り直しを迫られる。
 キオクシアとWDは、今月30日までの合意を目指していた。金融筋は、この日までに合意が果たせなければ、金融機関による支援の枠組みを再構築する必要があるため、短期間ではまとめられないと指摘した。三菱UFJ銀行など3メガバンクと日本政策投資銀行が、1兆9千億円規模の融資を確約していた。
 ただ、関係者によると協議は再開される可能性も残されており、状況は流動的という。半導体の製造は経済安全保障の重要分野のため、協議は日米両政府も後押ししていた。
 西村康稔経済産業相は27日の閣議後記者会見で、キオクシアが半導体の製造基盤技術を持つ重要な企業だと指摘した上で「まずは民間企業同士のやりとりをしっかり注視し、政府としての対応を考えたい」と述べた。
 SKは26日、統合に関し「現在同意していない」と表明し「当社がキオクシアに投資した資産の価値に及ぼす影響を総合的に考慮した」と説明した。SKはキオクシアやWDと同様、スマホやパソコンのデータ保存に使われるNAND型フラッシュメモリーを手がけており、強力なライバルの誕生を警戒していた。
 キオクシアとWDは、三重県四日市市と岩手県北上市で半導体工場を共同運営している。