辺野古埋め立て土砂の一部を陸上運搬に 説明と矛盾するも政府が優先したいこととは…


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 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、政府が埋め立て用土砂の一部を陸路で運ぶ計画を立てていることが20日までに分かった。沖縄防衛局が「環境負荷が小さい」とする海上搬送方針を転換した形だ。埋め立て承認を得る際に提出していた資料にも海上から搬送する計画が示されている。環境保全よりも工期短縮を優先させる姿勢が改めて浮き彫りになった。

 軟弱地盤の改良工事を議論するために設置した「技術検討会」で昨年末に示した資料に記載していた。

 2017年には土砂のケースとは逆に、陸上搬送を予定していた石材について方針を転換し、海と陸の両方から搬入することにした経緯がある。当初計画の記載と異なるため県は問題視していたが、防衛局は「(海上搬送の方が)大気汚染や騒音、振動など環境負荷が軽減される」と主張していた。今回、土砂の一部を陸上搬送に切り替えることは、防衛局の従来の説明との整合性が問われそうだ。防衛省は昨年末に開いた第3回検討会で、米軍へ施設提供するまでに12年、うち埋め立て工事などが9年3カ月との見通しを示していた。

 沖縄平和市民連絡会メンバーで土木技師の北上田毅氏は「工期が10年という大台に乗らないようにしたのか、かなり無理な工事計画を立てている。短い期間で工事を進めるにはこれまで通り海上搬送だけでは追い付かないのだろう」と指摘した。
 (明真南斗)