階段一つのビルが県内に150棟 大阪火災受け消防調査へ


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 大阪・北新地で25人が死亡した雑居ビルの火災に関して、現場のビルと同じように屋内の階段が一つしかないなどの建物「特定一階段等防火対象物」が県内に少なくとも約150棟あることが25日までに、県内18消防本部への取材で分かった。「特定一階段等防火対象物」について、対象が最多の約100棟だった那覇市消防局の担当者は「火災が起こり、一つしかない階段が使えなくなると、危険な状況になる可能性が高まるので、消防法に基づく管理が大切になってくる」と指摘する。

 雑居ビルの火災を受け、消防庁が県を通じて各消防に対象となる建物の立ち入り検査をするよう要請している。

 消防法では、建物内に階段が一つしかなく、不特定多数の人が出入りする施設が3階以上か地下にある建物を「特定一階段等防火対象物」と定義している。対象の建物になると、防火管理者の選任、防火シャッターや避難経路に障害物がないかなどの点検が義務付けられている。

 県内で対象の建物が最多だったのが那覇市消防局で、次に沖縄市消防本部の約30棟、宜野湾市消防本部の13棟と続いた。

 「なし」はうるま市と豊見城市、名護市、石垣市、中城北中城、久米島町消防本部だった。

 「調査中」と答えたのはニライ、島尻消防組合、糸満市、宮古島市、金武地区消防衛生組合消防本部だった。一部消防は、署内にある台帳の記録を基に回答しており、実際に対象となる建物の数は増減する可能がある。

 各消防本部は今後、立ち入り検査を行い、避難経路の障害物の有無や防火管理者の選任状況、消防設備の点検などを確認する。改善が必要なものに関しては、是正を求める指導書を送るなどして対応する予定だ。

 雑居ビルに関する火災では、2001年に東京都の歌舞伎町で発生したビル火災で44人が犠牲となった。この火災を受け、翌年に消防法が改正された。特定一階段等防火対象物における自動火災報知設備の設置対象拡大など、規制が強くなった。

(友寄開)