平成の音楽シーンは沖縄発の試みで劇的な変化を遂げた。これまでは大手レコード会社に所属してメジャーデビューを果たすのが主流だったが、1990年代後半からデジタル技術が進んだことによって、アルバムの製作費用や流通のコストが低下した。そのため地元で活動する若手が大手に属さなくても楽曲を全国に提供できる時代になった。
98(平成10)年、沖縄ではMONGOL800(モンパチ)が結成される。初アルバム「GO ON AS YOU ARE」(ハイウェーブ)は県内だけで1万枚を超え、インディーズCDのセールス記録を塗り替えた。ハイウェーブの比嘉瑩社長は「彼らのメロディーと歌詞のセンスが、CDを手に取る人の心を引き付けた。沖縄で1万枚ヒットすれば、全国でも必ずヒットすると思い、モンパチの曲を世に出した」と語る。
2枚目のアルバム「MESSAGE」(同)は人生観や恋愛、沖縄への思い、平和を織り交ぜた若者らしい純粋な歌詞とメロディーが共感を得てミリオンセラーを記録した。
比嘉社長は「沖縄は楽曲づくりの宝庫だ」と言い切る。「沖縄の自然や風景、沖縄の置かれている現状が心に残るメッセージとメロディーを生む。モンパチやBEGIN、HYなど多くのアーティストが、飾らずに、素直に地元愛を打ち出した曲を作ることによって多くの人に受け入れられ、支持を得たのだと思う」