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夜間中学、来年4月設置 珊瑚舎スコーレ、県が認可


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 南城市の珊瑚舎スコーレ高等部を運営する学校法人雙星舎(そうせいしゃ)は6日までに、私立夜間中学校の設置計画について、沖縄県から「妥当」と認める通知を受け取った。年度内に正式認可される見通しで、来年4月、私立としては全国初の開校例となる。
 県は昨年、運動場面積の基準を満たしていないことなどを理由に設置を認可しなかった。県内には戦中、戦後の混乱で義務教育の機会を十分に確保されなかった人が多く、公的な卒業認定を得られる夜間中学の必要性が指摘され続けてきた。星野人史理事長は「高齢の義務教育未修了者のために、少しでも早い開校が求められていた。協力してくれた人たちに感謝している」と話した。
 自主夜間中学を運営しているNPO法人珊瑚舎スコーレは、雙星舎を設置主体に「珊瑚舎スコーレ東表(あがりおもて)中学校」を設置できるよう昨年3月、県に申請した。県は同年9月末、「中学校設置基準の第8条を満たしていない」として認めなかった。同8条には「校舎および運動場の面積」に関する定めがある。一方で「地域の実態その他による特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合は、この限りでない」とも記されている。
 雙星舎は近隣の馬天小学校の運動場を借用できるよう契約し、募集定員を14人から7人に減らすなどして県に再申請していた。計画の妥当性などを審議していた県私立学校審議会は9月、これを認めて答申を出し、県も妥当と認めた。雙星舎は11月30日までに認可申請書を県に提出し、来年2~3月に開催予定の審議会で認可を得れば4月開校となる。
 東表中では学費を無償にする方針で、星野理事長は今後寄付を募る。私立中学校の授業をサテライトで受けられる「市町村教室」の開校も計画していて、講師人材の登録も今後始める。卒業認定できる夜間中の必要性を訴えてきた星野理事長は「開校できることはよかった」と受け止めながらも「県内に1校だけでは、未修了者の学びの場の確保としては不十分だ」と語った。
 (嘉数陽)