有料

沖縄の人骨研究したい ノーベル賞ぺーボ教授 OISTで講演


沖縄の人骨研究したい ノーベル賞ぺーボ教授 OISTで講演 ネアンデルタール人のゲノムと現生人類の進化について講演するスバンテ・ペーボ教授=7日、恩納村の沖縄科学技術大学院大学講堂
この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)は7日、2022年にノーベル生理学・医学賞を受賞したスバンテ・ペーボ教授の受賞記念講演会を恩納村のOIST講堂で開いた。ペーボ教授は、OISTに非常勤教授として所属し、ドイツの研究所と行き来しながら研究を続けており、「絶滅したヒト科のゲノムと人類の進化に関する発見」でノーベル賞を受賞した。受賞後に県内で本格的に講演するのは初めてで、約500人が来場し話に聞き入った。

 20年以上にわたりネアンデルタール人の研究を続けてきた理由を、ペーボ教授は「いま生きている私たちに一番近い。生物学的、遺伝子学的に自分たちを定義するためにはどう違うのかを比較するのが良い」と語った。

 4、5万年前までネアンデルタール人は存在していたとし「現世人類と出会ったときに何が起こったのか。それを知るにはDNAを調べる必要があった」と話した。

 1980年代に古代エジプトのミイラから細胞を取ってDNA配列の解明を試みたが、発表した後に、ミイラのものではなくペーボ教授や他の研究者のDNAと判明し「技術的に困難な部分があった」と失敗談を振り返った。その後2010年にネアンデルタール人のゲノム配列を発表した。

 近年の研究では、ネアンデルタール人由来の遺伝的変異が早産や流産に関連していることや、コロナの重症化に関わることが明らかになってきていることも紹介した。

 質疑応答では、「(古代の)沖縄にいた港川人はネアンデルタール人の仲間か」との質問もあった。これに対しペーボ教授は「(港川人は)現生人類に近く、ネアンデルタール人はもっと古い。沖縄の古い人骨ももっと研究したい」と答えた。質問した琉大付属小2年の久場奏楽(そら)さん(8)は「(答えてくれて)うれしかった。友達に自慢したい」と目を輝かせた。

 (慶田城七瀬)