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教員性暴力 年内に窓口を 文科省、自治体に要請へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 教員らによる子どもへの性暴力事件が相次いで発覚したことを受け、文部科学省は、年内に全ての都道府県・政令指定都市に被害の通報や相談を受け付ける窓口を設置するよう各教育委員会に要請する方針を固めた。関係者への取材で19日、分かった。20日にも通知を出し、全教員への速やかな研修の実施も求める。
 盛山正仁文科相は「児童生徒を一部の悪意ある教員による性暴力の犠牲者とさせない決意で対策を進める」とのメッセージを出す。
 文科省によると、2022年4月に施行された「教員による児童生徒性暴力防止法」は国や自治体に相談体制の整備を求めているが、一部には相談窓口がないという。
 東京都練馬区立中の校長が今年9月、校内で撮影したとみられる児童ポルノ画像を所持したり、女子生徒に性的暴行を加えたりしたとして逮捕された事件は、都教委の相談窓口に匿名で「過去に先生からわいせつ行為を受けた」と電話があったことで発覚した。
 通知は「ごく一部の教員が立場を悪用して性暴力を行うことは、児童生徒に回復しがたい重大な影響を与えるだけでなく、学校教育全体の信用が毀損(きそん)される」としている。
 相談体制の整備では、国私立学校と連携し、教員や児童生徒への窓口の周知を要請。教員の研修では、自治体の性暴力防止の先進的な取り組みをまとめた事例集や文科省作成の研修用動画を活用することを求めた。
 教育関係者による性暴力では、大手中学受験塾「四谷大塚」の元講師も教え子の女児を盗撮したとして逮捕された。
 教員の性暴力対策 「教員による児童生徒性暴力防止法」は、わいせつ行為や性的羞恥心を害する言動などを「児童生徒性暴力」と定義し、禁止を明記。わいせつ行為で懲戒免職となり免許を失効した場合、都道府県教育委員会が「適当」と認めなければ再取得できないとした。免許失効者の情報を記録したデータベース(DB)が稼働しており、教委や学校法人に教員採用時のDB検索を義務付けている。