相談190人 予想の3倍 「ソラエ」開所10週間


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 ニートや引きこもり、不登校など若者や子どもが抱える悩みを一括して聞き取り、関係機関との連携で解決を図る県の「子ども若者みらい相談プラザsorae(ソラエ、県子ども・若者総合相談センター)」に相談を寄せた人が、昨年10月20日の開所から12月末までの10週間で190人に上り、予想を3倍上回っている。

 県の委託でソラエを運営するNPO法人サポートセンターゆめさき(沖縄市)の上江田紫寿江代表は「沖縄はニートや引きこもりが多いと言われてきた。これまでどこにも相談できず、家族で抱え込んでいた人たちが表に出てきている」と話している。
 ソラエは那覇市首里石嶺町の県総合福祉センター西棟3階にある。ソラエは相談者数と当事者の年齢、相談内容などを集計し、12月の月報にまとめた。相談者190人は、本人(当事者)が69人で最も多く、母親63人、支援機関29人、父親10人と続いた。相談方法の内訳は来所95人、電話84人、メール11人だった。
 ソラエは開所前、離島があり沖縄と人口規模の近い長崎県の相談センターの実績を参考に相談者の予測を立てた。長崎の場合、新規の相談者は1週間当たり5~6人だが、沖縄は平均19人で3倍多かった。
 ソラエに寄せられた主な訴えは、不登校が43人と最多で、ニート(31人)、引きこもり(17人)、対人関係(13人)、いじめ(12人)、発達障がい(8人)などが続いた。不登校や引きこもり、ニートの背景には困窮や発達障がい、精神疾患など複合要因が絡んだ事例が多かった。
 当事者の性別は男性99人、女性79人で電話相談のため性別不明が12人だった。当事者の年齢は16~19歳までが44人と最多。20代までの若年層が多いが、40代からの相談もあった。相談を受けての紹介先は就労支援機関が26件と最も多く、教育分野18件、医療機関6件と続いた。
 親が心の病を患って子育てが難しく、その影響で子どもも不登校や引きこもりになった事例もあった。ソラエは親に受診を促し、学校と協力して、子どもの復学を後押しした。
 ソラエの小笠原徹事務局長は「貧困家庭の多さが特徴だが、経済的には困っていないものの、社会から孤立して苦しんでいる親子もいる」と語る。
 上江田代表は「子どもを救い出すには親支援の視点が大切で、福祉や医療機関などとの連携がとても重要だ」と強調した。
 ソラエの連絡先は(電話)098(943)5335。