浦添グスクの西方城壁を確認 犬の埋葬、大量の貝出土も


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 【浦添】浦添市教育委員会による国指定史跡「浦添城跡」の発掘調査で、内郭西地区から長さ23メートルにわたる14世紀ごろの石積み城壁が、26日までに出土した。構造が不明だった同地区南側の外観が明らかになり、城壁が直角に曲がる隅の部分も良好な状態で確認できるなど、浦添グスクの規模や建造技術を知る貴重な発見となった。城壁の外側から、埋葬されたとみられる犬の全身骨や大量の貝の出土もあり、謎の多いグスクの性格を解明する手掛かりとしても注目される。

 浦添城跡では沖縄戦後に工事資材として石材が持ち出され、城壁がほとんど残っていない。特に内郭西地区の南側は城壁がどのような軌跡で存在していたのかが分かっていなかった。
 昨年10月に調査に着手。傾斜地の樹木を伐採して発掘を進めたところ、直方体に切り出した琉球石灰岩を積み重ねる「布積み」の城壁が姿を現した。石積みは最大7段の高さで残存。目地が縦方向にまっすぐ通った積み方は、2007年度に整備を終えた別の地区の城壁と共通しており、一体の城壁としてつながるものと考えられる。
 城壁直下の岩盤は約2メートルの幅で削って平らにした痕跡(はつり痕)が続いていて、その平らな岩盤の上に切石を積み上げて城壁を構築していた。直角に曲がった箇所では巨大な積み石が使われており、大きな力がかかるのを支えて崩落を防ぐ役割を果たしたと考えられるという。
 浦添グスクは察度王統の王宮として栄えた14世紀ごろに規模を広げて築かれたと考えられ、今回の調査でも同時代の中国産陶磁器が見つかっている。城壁のすぐ外側では、ヤコウガイ製の貝さじの破片とともに、カワニナ(巻き貝)やカタツムリの殻、約600個が1カ所でまとまって出土した。小型の犬1頭の全身骨は、くぼ地に石を敷き詰めた状況などから埋葬された可能性があるという。
 市教委文化課グスク整備係の仁王浩司さんは「石灰岩岩盤の地形に着目して発掘の目当てを得ることができる。石積みは失われていても、岩盤のはつり痕を探すことで城壁ラインをたどっていくことが可能になる」と今後の復元整備に向けた意義を語った。
 市教委は2月1日午後1時半から、一般公開の現場見学会を開く。参加無料で、雨天中止。問い合わせは市教委文化課(電話)098(876)1234(内線6213)。

琉球石灰岩の岩盤を平らにした上で積み上げられた浦添グスクの城壁跡=23日、浦添市仲間
埋葬された可能性がある犬の全身骨(浦添市教育委員会提供)
浦添城跡の城壁予測図