ハンセン病差別撤廃を 内外の医療界代表ら宣言


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ハンセン病患者やその回復者への偏見・差別撤廃を訴える「グローバル・アピール2015」を読み上げる国内外の関係者ら=27日午前、東京都港区のANAインターコンチネンタルホテル東京

 1月25日の「世界ハンセン病の日」に合わせ、日本財団の笹川陽平会長と国際看護師協会のジュディス・シャミアン会長らは27日午前、東京都港区のANAインターコンチネンタルホテル東京で、ハンセン病患者・回復者への社会的差別撤廃に向けた「グローバル・アピール2015」を発表した。

「患者・回復者やその家族が人としての権利を享受することに平等な機会とコミュニティーの一員として尊厳ある生活を営む権利を有する」と宣言した。同日午後にはハンセン病国際シンポジウムも開かれた。
 日本財団は2006年以降、共に、世界の医療や法曹、宗教界などの代表者らと「グローバル・アピール」を宣言している。日本で発表したのは初めて。
 WHOハンセン病制圧大使を務める笹川会長は「医療面の進展で患者数は劇的に減り、障がいもなく治る病気になった。だが、多くの回復者は外に出ることをちゅうちょせざるを得ない状況にいまだある」と指摘。「家族から引き離されるなど壮絶な人生を送り、社会を恨む気持ちもあったと思うが『もう一度自分の人生を生きる』と前向きな気持ちを取り戻している人もいる」と差別撤廃への決意を述べた。
 シンポでは「ハンセン病と医療・介護」「風化させてはならないハンセン病の歴史」「ハンセン病問題の将来」をテーマに、国内外の関係者らが講演。回復者らが住むコロニーでのコンサート開催で、周辺地域住民と自然に交流するような取り組みなどが報告された。若者世代への啓発の重要性も確認した。
 アピール宣言式典には安倍晋三首相らが来賓としてあいさつをしたほか、潘基文国連事務総長やダライ・ラマ14世がビデオメッセージを寄せた。