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空手教室で居場所づくり 浦添署・宜野湾署 少女と補導員参加し達成感


空手教室で居場所づくり 浦添署・宜野湾署 少女と補導員参加し達成感 池田巡査長(右端)や登野城さん(左端)から指導を受ける少女(中央)ら=7月30日、浦添署
この記事を書いた人 Avatar photo 名嘉 一心

 【浦添】浦添署と宜野湾署は7月30日、少年の居場所をつくろうと共同で、浦添署で空手教室を開いた。7月1日から8月31日まで県が実施する「青少年の非行防止」県民一斉行動の一環。浦添署管内の少女(14)が参加し、警察官や少年補導員、大学生らと稽古を通して触れ合った。

 県警は少年らの非行防止の観点から、各種体験を通した人々とのつながりの中で自己肯定感や達成感を得られる心のよりどころを作ろうと活動している。今回の空手教室では、浦添署の生活安全課に所属し5月の西日本実業団空手道選手権で県警の団体メンバーとして準優勝に貢献した池田咲乃巡査長(26)が講師を務めた。

 池田巡査長は受けや突きなど、空手の基本動作を伝えた。対面でコミュニケーションをとる場面を多くして、少女と他の参加者がそれぞれの動きについて指摘し合えるように工夫した。

 少女は積極的に稽古に参加し、汗を流していた。稽古後には「難しかったけど、楽しかった」と達成感をにじませた。警察官や指導員らのサポートについて「緊張するけど、いろいろな人と関われた。コミュニケーションの勉強になった」と感謝した。

 同日は少女の母親(47)も訪れて見守った。少女は3月から4月にかけて、SNSで知り合った友人に会おうと、遠くに出かけるようになったという。母親は「娘が自宅に戻らず探しに行くこともあった」と振り返った。深夜はいかいで数回補導されたことをきっかけに、浦添署の少年補導員らが少女と関わるようになり、徐々に自宅に戻るようになったという。「自分だけでは、駄目なことは駄目と伝えられなかった。補導員の皆さんに私も娘も支えられている」と話した。

 浦添署で少年補導員を務め、少女を支援する登野城悠美さん(23)は「最初は口も聞いてくれなかった」と語る。しかし、交流を重ねるごとに「何で大学に通ったの」などと会話も増えたという。登野城さんは「時に厳しくすることもある」として、少女と対等であることを重視した結果だという。空手教室では2人がペアになると笑顔で稽古に取り組んでいた。稽古後、少女が参加者らと会話する姿を見て「妹のようです」と目を細めた。

(名嘉一心)