<社説>那覇市長に城間氏 果敢に公約実行を 県都でも民意が動いた

 保革を超えて、自らの未来を決める権利の行使を希求する民意の分厚さは、県都・那覇市でも鮮明に示された。

 16日に投開票された那覇市長選挙は、前副市長の城間幹子氏(63)が初当選を果たした。
 知事選で初当選した前市長の翁長雄志氏(64)の後継として立候補した城間氏は過去最多となる10万1千票余を獲得した。
 自民、公明などが推した前副知事の与世田兼稔氏(64)に4万3千票余の大差をつけ圧勝した。
 県知事選挙と那覇市長選のダブル選挙が沖縄の民意の地殻変動を歴史に刻んだことは間違いない。

基本姿勢を貫け

 城間氏は本紙のインタビューで「政治は民のためにある」「常に人に寄り添う姿勢は変えない」と抱負を語った。この基本姿勢を貫き、待機児童解消、少人数学級の普及など重点として掲げた政策を着実に実行して市民生活の向上に尽くしてほしい。
 行財政改革など県都に山積する課題に果敢に取り組み、女性の地位向上、社会進出にも指導力を発揮することを要望したい。
 城間氏は翁長氏とのセット戦術で選挙戦を駆け抜けた。「初の女性市長誕生」をアピールし、男女双方、各年代層から幅広い支持を集めた。
 城間氏は最大の争点に、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の是非を挙げていた。知事選候補の翁長氏と連携し、県民の大多数の世論を挙げて移設反対を前面に打ち出す戦術を取った。
 琉球新報と共同通信による那覇市の期日前投票の出口調査(サンプル数約1700)によると、投票に際して普天間飛行場の返還・移設問題を重視した人が約6割を占め、そのうち75%が城間氏に投票していた。
 保守、革新の伝統的な対立構図が息づいてきた那覇市長選の構図と異なり、城間氏の支持母体は那覇市で主流の保守層と革新が手を携えた。城間氏は基地問題が移設先だけの問題ではなく、全県民が向き合わねばならない課題であることを有権者に認識させることに貢献した。
 県都のリーダーは県市長会などで要職を担うことが多いだけに対政府、そして県内外に向けて沖縄の実情とその解決方法を発信せねばならない。翁長氏と連携し、その重い役割を果たしてほしい。
 城間氏は中学校長を務めた後、香港日本人学校長に赴任し、視野を広げた。30年余の教職経験と市教育長、副市長を担った経験を生かしたきめ細かい施策が浸透した。

待ったなしの課題

 城間氏は「政策の一丁目一番地は待機児童の解消」と強調している。市の待機児童数は4年連続で400人を超え、待ったなしの課題となっている。幼稚園児が放課後に児童クラブ(学童)が利用できなくなる沖縄特有の問題も横たわっている。
 わずか3年で全国最多の待機児童数を「ゼロ」にした横浜市など、県内外の先進事例も参考にしながら、那覇市の実情に合った解決策を講じ、保育をめぐる不平等を一刻も早く解消すべきだ。子どもの健やかな成長が保障されてこそ、地域の明るい未来も開ける。
 国際通りなどの中心市街地の活性化には不断の取り組みが求められる。地元客を呼び込む魅力の創出と定住人口の増加は活性化の両輪だろう。市民会館移設や農連市場再開発などの施設整備と誘客の知恵の両面から実効性ある対策を打ち出す必要がある。
 独居高齢者の見守り態勢の充実、生活困窮世帯への支援など、生活弱者への手厚い対応も避けて通れない。
 那覇市は権限が強まった中核市に移行して2年目を迎えた。情報を共有し、市民自ら街づくりに参画する意識を高めることが那覇市を輝かせる基盤となる。翁長市政の継承にとどまらず、城間カラーをしっかり発揮して那覇の未来像を紡ぎ出すことを望みたい。