<南風>つなぎ続けた外交


社会
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 総勢77人で構成された訪中団に事務局として同行し、7月3日から6日まで北京を訪問してきた。今回の派遣は2019年4月以来で約4年ぶり。日中両国が「ポストコロナ」の時代を迎え、直接交流が再開されてから派遣される初の大型経済ミッションであり、前回に続き玉城デニー知事が参加されたこともあって沖縄や全国のみならず中国でも非常に注目を集めた。

 既に報道されている通り、7月5日には今年3月の全人代で新たに選出されたばかりの李強首相との会談が実現し、日中経済協力や経済安全保障問題で極めて率直な意見交換が行われた。沖縄との関連では、玉城知事が沖縄県と福建省の関係強化について言及したのに対し、李首相は自身が浙江省、江蘇省、上海市で勤務していた時代に静岡県、栃木県、福井県、大阪府と交流した経験から地方協力の重要性を理解していると述べ「中央政府は福建省と沖縄県の交流強化を支持する」と応じた。

 また、沖縄県が中国と往来を進める上で課題となっている直航便の再開やビザ取得手続きの簡素化(現状では中国駐福岡総領事館に申請者本人が出頭しなければならない)を玉城知事が申し入れたのに対し、李首相は「関係部門に指示を出し、課題解決に向けて検討させる」と回答した。中国を代表する立場にある李首相がここまで明確な意思表示をしたことは、ある意味驚きだった。

 今回の会談でこれらの発言を引き出したのは玉城知事の功績だ。だが、この成果が生まれたのは仲井真県政時に高良倉吉副知事が訪中団に初めて参加したのが発端であり、その後に翁長雄志前知事が訪中団に参加し続けたからでもある。その意味で今回の成功は仲井真県政から玉城県政に至るまで中国との対話をつないできた「真のオール沖縄」の外交成果だと私は思う。

(泉川友樹、日本国際貿易促進協会業務部長)