<南風>ダイビング


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 「出身、沖縄なんだって。ダイビングやる?」
 大学を卒業後、就職した神奈川の自動車機器メーカーの新入社員歓迎会の3次会の席で、同じ技術部で、ダイビング部の部長に声を掛けられた。「いやー、沖縄出身ですが、ダイビングはやったことないですね。でも、やってみたいです」

 やんばる育ちなので、小さい頃から海は身近だった。父に連れられ、釣り、潮干狩りや海水浴へ何度も行った。夏休みは日焼けで背中の皮が何度もむけたのを覚えている。しかし、スキューバダイビングは未経験だった。観光客が、高いお金払ってやるもの、というくらいの認識だった。
 会社のサークル活動なので、遊びのレクだと軽い気持ちで入ったのだが、なんと、超体育会系で、練習では、「自分の命は自分で守れないとだめだ」と檄(げき)が飛び、「ウエイト持って立ち泳ぎ15分 できるまで!」という感じ。水深6メートルでいきなりマスクを外されたときのパニック感は、本当に初体験だった。海に入るまでに、何度も何度もプールで練習を繰り返し、伊豆の海で何度も潜り、鍛えられた。
 そして、帰郷した沖縄で、初めて沖縄の海に潜った。あの感動は今でもはっきりと覚えている。沖縄に戻ってきてからは、高校時代の友人を中心に、毎週のようにみんなで潜った。サークルで安全第一をたたき込まれたおかげで、事故もなく安全に楽しめた。
 うちなーんちゅは海に入らない-。よく聞く話だが、世界に誇るこの美しい海を身近に感じられることは、本当に素晴らしいことだと思う。子供たちの夏休みも始まり、夏本番。
 海の素晴らしさと厳しさ、危険を管理することを教えてくれた部長を思い出しつつ、沖縄の素晴らしい海を満喫したい。今年は、ついに私の背を超えるまでに成長した長男とダイビングにでも行ってみるかな。
(寺田克彦、テラ・ウェブクリエイト社長)