<南風>なぞなぞとジャンケンポン


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 幼少時の必須アイテムがなぞなぞ遊びとジャンケンポンだが、大人になると使う機会がなかなかない。当方が大人になって考えたなぞなぞ遊びから始めよう。「謎」とは「何ぞ?」と怪しむ時に問いかける言葉からきている。

 では1発目。「沖縄人は大和人に比べて肉を食べる回数が2回少ないのはなぜか?」。答えはこうだ。「肉は18、シシ(肉の方言)は16」

 しばし我慢されたい。2発目。「熱々のカップルがデートの際、レストランでフーチャンプルーを注文した。なぜか?」。答えはこうだ。「フーはコイの餌」。これとは反対に夫婦生活も7年を迎えると、お互いの正体が白日の下にさらされるので飽き飽きして危機を迎えるケースが多いらしい。

 3発目。7年目の危機を迎えた夫婦が現状を打開すべく、久しぶりに食事に出かけた。「注文したのがフライドチキンだったのはなぜか?」。答えはこうだ。「倦怠(けんたい)期フライドチキン」

 ここら辺でお口直しにジャンケンポンの話題。何年か前のことだ。野菜買い出しのため糸満市のファーマーズマーケットを訪れた。ここは新鮮さと品揃(ぞろ)えで人気も高い。あにはからんや。その日は駐車場が満杯で小雨も降りしきっていた。

 ウロウロしているうち1台分空いている駐車スペースを見つけてそこへ近づいた。同時に反対側からバンを運転する女性が現れた。相互の距離は約5メートル。思わずお互いに目を合わせてしまった。

 当方がとっさにジャーン・ジャーン・ジャンケンポンの合図を拳を握って始めると、何とくだんの女性はそれに応じたのだ。ここに駐車スペースを巡る世紀の勝負が始まった。もはや勝負は二の次、当方は誘い水に応じた女性の茶目っけにいたく感動した次第だ。もちろん数秒間なのでお顔は思い出せないが、美しい手は忘れがたい。
(渡具知辰彦、県交通安全協会連合会専務理事)