<南風>DVの根源は支配


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 宜野湾市と那覇市で毎月シングルマザー向けの相談・交流を目的とした「おしゃべり会」を開いています。お母さんたちが安心して自分の話に集中できるよう保育も無料で行っています。これまでたくさんのお話を伺ってきましたが、離婚に至った理由や離婚前後に抱える問題に共通点があります。それは、ほとんどの方がDVを受けているということです。

 私たちの会に足を運ばれる方で、DVによる裁判所の保護命令を受けたことがあるとか、DVが理由で離婚した、とおっしゃる方は多くありません。しかし、いろいろと話を伺っていくと、ほぼ全員が深刻な「精神的DV」を受けています。

 「誰のおかげで飯が食えているんだ」「外に働きに出るな」「俺がこんな目に遭うのはお前のせいだ」「子どもが起こしたトラブルはお前の責任だ」「お前にひとりで子どもを育てていくことは無理だ」と度々言われ、時には無視をされる。また、直接殴らなくても、物を壊したり投げたりして恐怖を感じさせる。結婚当初から機嫌が悪くなるとこのような言動を発せられ、これが夫婦の日常になってしまう。

 このようなことを両親やママ友に相談しても「男ってそういうものだよ」「どこの家庭でもあるよ」と言われ「自分さえ我慢すれば」と追い詰められてしまう。

 しかし離婚したお母さんたちは言います。「これを毎日子どもが見てるんです。だから、もしかすると将来夫と同じことをするかもしれない。私と同じように我慢するかもしれない。そう思ったら何がなんでも離れないといけない、と思ったんです」と。

 DVの根源は「支配」です。離婚後の生活の激変から心身とも疲弊している母子に対し、「子の福祉に資する」という名のもとで「面会交流」が強要されて支配が続く場合があります。
(秋吉晴子、しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄代表)