<南風>変わるものと変わらないもの


社会
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 5月1日、琉大職員として37年目に入った。この間、最も進化したのは業務ツールだ。パソコンやタブレット、スマートフォンが当たり前になり、今やメールがなければ仕事が進まない。自分のパソコンの性能を忘れては、ついつい画面に人差し指を当て、横に滑らせてしまう。パソコンの買い換えを真剣に悩む。

 1982年の入職当時、事務文書は手書きか和文タイプライターだった。90年前後からワープロが主流になり、2000年以後、パソコンやメールが使われるようになった。新しいツールの活用は、研究室が先んじていた。84年頃には、調査データの記録と分析は手書きからパソコンでの処理になった。技術の進歩で値段もぐんと安くなり、素人でも扱えるようになったパソコンは、瞬く間に研究室の必須アイテムになった。

 ツールだけでなく、91年以降、大学を取り巻く環境も大きく変わり始めた。国の厳しい財政や中央省庁再編、世界的な教育改革のうねりなどが背景にあった。04年の国立大学法人化は最大の変化で、メディアにもかなり取り上げられた。それまで私の記憶にある大学関連のニュースと言えば、70年前後の大学紛争やノーベル賞受賞くらいだった。

 最近では、18歳人口がさらに下降に向かう18年を乗り越えようと、学部・大学院の再編や新設が全国で相次いだ。琉大もここ10年足らずで、農学部・工学部・教育学部を改組し、教職大学院・人文社会学部・国際地域創造学部を新設した。それでも、地方創生や地方での若者定着など、大学に改革を望む声は鳴り止(や)まない。

 今、驚くほどのIT技術の進歩が人の暮らしや社会を変え始めている。変わらないのは、大学が人材育成と学術基盤の公器・公財だということ。大学の価値を支えるという役割が、大学人にはあると思う。
(新田早苗、琉球大学総合企画戦略部長)