<南風>開学の日


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 今日、5月22日は本学の68回目の開学記念日。毎年、名誉教授の先生方や教職員が集い、本部棟横の護国寺の鐘を打ち、午餐(ごさん)会で和やかにこの日を祝う。なんとなくお祝いムードが漂って、嬉(うれ)しい気分になる。

 1950年に首里城跡地に開学した本学。開学記念日は、最初の入学式が挙行された日だ。10年ごとの6冊の記念誌の写真や行間から、本学の歴史と変遷を辿(たど)ることができる。先生方の若かりし頃や様々な学内行事の様子、木造から鉄筋コンクリートに変わる様子や、名物行事だった運動場での授業登録風景。ああ、懐かしい。現在のキャンパスへの移転を巡る記述からは、当時の関係者の熱意と苦労が偲(しの)ばれる。

 開学当時は、英語学部、教育学部、社会科学部、理学部、農学部および応用学芸学部の6学部、1、2年次あわせて562人の学生、44人の職員。まるで赤ん坊のように小さな体で、本学は生まれた。今や、7学部9研究科(大学院)、医学部附属病院、附属小中学校を持ち、昨年度実績で学生数8222人、役員・教職員数2240人を擁する規模の総合大学に成長し、すっかり大人の体に。地域や様々な人々の支援や大学自身の工夫で、68年前に比べて規模が拡大した。同時に、8万人余の卒業生や活躍する人材の輩出、研究に基づく提言や製品開発など、活動成果も拡大している。

 ここで、素朴な疑問。琉大が沖縄にある効果は何だろう? 一昨年、本学の経済学専攻の学生たちが産業関連分析に取り組んだ。琉大立地による沖縄県への経済波及効果は694億円と試算した。本学より大規模の地方国立大学に比べても遜色ない額で、正直、驚いた。と同時に妙にホッとした。もちろん、効果を示す指標はこれだけではない。開学記念日、琉大が目指すべき最大の効果は何か、それを考える日にしたい。
(新田早苗、琉球大学総合企画戦略部長)