第19回昭和32年生敬老の日大闘牛大会(古堅闘牛組合・昭和32年生闘牛愛好会主催、琉球新報社共催)が15日午後1時から、うるま市石川多目的ドームで開かれる。サブタイトルにもあるように、8月16日に惜しまれつつこの世を去った古堅闘牛組合組合長の佐久川政秀氏の追悼大会でもある。注目の結びの大一番には佐久川氏の愛牛・古堅モータース☆剛力と若手大型牛・南部グリズリーが激突する。73歳以上は入場無料で、開会前の午前11時45分から赤野青年会、屋慶名青年会によるエイサー演舞、試合の合間にはお楽しみ抽選会を行うなど、佐久川氏のお客さんを楽しませたいという思いが詰まった大会となっている。
(平川智之通信員)
[シーの一番]勝利届けるか念願の初勝利か 古堅モータース☆剛力VS南部グリズリー
古堅モータース☆剛力は、デビュー前に佐久川氏が一目見て気に入り将来性を高く評価してその日で即決して牛舎に迎え入れた佐久川氏の愛牛の1頭だ。得意技は、トガイー角を使ったワリ技や腹取り速攻。デビュー戦は昨年10月に行われた読谷まつり闘牛大会で、雷電大河を16秒で退け白星スタートを切った。
2戦目は、3月の能登半島復興支援大闘牛大会で3連勝中の竜輝白鳳と対戦。約13分に及ぶ息をのむような壮絶なツキワリの打撃戦は大いに観衆を沸かせた。惜しくも勝利には至らなかったがその実力を闘牛ファンに知らしめたのは言うまでもないだろう。以前、取材で牛舎を訪れた際に佐久川氏が「この牛はとるよー(全島一)」と語ったのが忘れられない。ここから仕切り直し復帰戦を飾るとともに、今は亡き主にささげる勝ち星を挙げ再び頂点を目指す。
対する南部グリズリーは徳之島で昨年12月のデビュー戦を落としたのを機に沖縄へ移籍。沖縄初戦は6月の具志川大闘牛大会で琉球珀愛と対戦。初めての場所で浮足立ったのか琉球珀愛の攻撃の前になすすべもなくわずか7秒で敗れた。この試合で本領を発揮して念願の初勝利をものにできるだろうか。
[シーの二番]実力牛同士一進一退の攻防へ 伊良皆圧送全進VSキラキラ☆にゃん太〓
伊良皆圧送全進は、カケ技で相手をコントロールして一気に腹取りを狙うのを得意とする。
初戦は2021年の弥生闘牛ダービーでマルコを7分で破り白星発進。次に長堂畜産チワワとの15分の長期戦を制して勝利した。翌23年の新春南部大闘牛大会で宮里MAX(元・白桜)に6分弱で敗れ初黒星。宮里MAXに強烈な腹取りを浴びせられながらも何度も体勢を立て直し向かっていく負けん気の強さを見せたが力及ばず最後は敗走した。
その後は、大芽王、蓮大砲、一発逆転山獅子に勝ち、直近では5月に全島大会初出場を果たし、あん樹彦星を11分で撃破し4連勝中と勢いに乗る。
対するキラキラ☆にゃん太〓は元軽量級王者ファイティング大吉の直系で父親と同じくカケ技からの腹取り速攻を得意とする。デビュー戦は昨年の6月に伊波重機☆白嵐(元・獣王パンダ)と対戦し約4分で勝利している。
2戦目は今年の1月に徳之島の大会で県対抗戦に出場し翔柊王に25分の激闘の末敗れている。復帰戦となった3月の大会ではコウタ花形をわずか3秒で一蹴、先月には第12回夏の全島闘牛大会に出場し、あん樹彦星を7分半で破っている。
軽量級の実力牛同士の戦いは素早く攻守が入れ替わる一進一退の攻防が予想され目が離せない試合になるだろう。
※注:〓はハートマーク(白抜き)
[シーの三番]巨漢対決 先手勝負が勝敗左右 古堅モータース☆若力VS貴花大獣王
古堅モータース☆若力は、昨年の読谷まつり闘牛大会でデビュー戦を迎えた。対戦牛のイーグル王は全島一のタイトルマッチ経験もある実力牛だったが、持ち前のパワーで一気に押し切りわずか15秒であっさりと勝利した。続く2戦目の能登半島復興支援大闘牛大会でも格上の元徳之島全島一牛の一発逆転牛若赤丸と対戦し39秒で撃破。5月には第120回春の全島闘牛大会に初選出されファイティング力(志)と対戦した。
開始直後から得意のワリ技、カケ技と勇猛果敢に攻め込むが、経験値で勝るファイティング力(志)のカケ技に太刀打ちできずに初黒星。この敗戦を糧にして古参の貴花大獣王を相手にどういった戦い方をするのか注目される。
対する貴花大獣王は闘牛ファンにはおなじみの県下最重量1300キロを誇る荒技の巨漢牛だ。2019年のデビューから現在にいたるまで5年の間、重量級のトップランカーとして常に最前線で戦い息の長い活躍を見せ、通算成績は11勝5敗。5月の第120回春の全島闘牛大会で全島一タイトルを奪取すべく新力Babyに挑み、敗れはしたものの新力Babyとの体重差対決で闘牛界を大いに盛り上げたのは記憶に新しい。
試合の見どころは先手勝負だろうか。大型の両牛がエンジン全開で相対するのが予想され、先に打って出た方が勝敗の行方を大きく引き寄せるだろう。
[封切りスペシャルマッチ]多彩な技の掛け合い見どころ 幸皇VS与那国同志号
幸皇は、2021年にデビュー戦で来福花形と対戦し10分余りで敗れ黒星スタート。その後は、引き分けをはさみ2連敗と思うように成績が出ずにいた。しかし23年5月の大会でアキラ號からの初勝利をきっかけに、まるで覚醒したかのように目覚ましい成長と活躍を見せる。第11回夏の全島闘牛大会では東龍を8分で下し、第119回秋の全島闘牛大会であん樹彦星を13分余りで退けた。今年3月には軽量級のチャレンジャーにも選ばれた長堂畜産葵冠を21分で破り、第120回春の全島闘牛大会では天心嵐との25分に及ぶ長期戦を制した。今や全島大会の常連牛となっている。
対する与那国同志号は、豪快な腹取り速攻で人気の軽量級の実力牛だ。22年のデビューからあん樹彦星や琉仁昇龍(元・昇(マチー大城)龍)、ファイティング大吉などの強豪を下して破竹の8連勝を記録。昨年の第119回秋の全島闘牛大会で当時のチャンピオン彪獣王に挑んだが、彪獣王の守りを崩せず敗北。3月の復帰戦では常勝会テスリ華梨に4分27秒で勝利している。ワリ技、カケ技、腹取り速攻と万能にこなす幸皇と、伝家の宝刀腹取り速攻で対抗する与那国同志号のどちらが相手より優れているか技量勝負となるだろう。