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デフレ脱却へ賃上げ協調 連合と経団連トップ会談


デフレ脱却へ賃上げ協調 連合と経団連トップ会談 労使トップ会談のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 2024年春闘が本格化する中、連合の芳野友子会長と経団連の十倉雅和会長が1日、東京都内で会談した。賃金と物価がそろって上昇する好循環を実現し、持続的な賃上げにつなげる方向性で一致。中小企業がコスト上昇分を取引価格に上乗せする価格転嫁を、社会に定着させるとの認識も共有した。長いデフレからの脱却を確かなものにするため、労使の足並みがそろうかどうかが問われる。
 会談の冒頭が報道陣に公開され、十倉氏は「価格転嫁や価格上昇のネガティブな意識を社会全体で変える必要がある」と強調。芳野氏は「大企業は自ら進んで価格転嫁の努力をし、中小、小規模事業者は遠慮せずに交渉を持ちかけてほしい」と訴えた。
 双方は、賃上げと同時にリスキリング(学び直し)など人材への投資を強化することで生産性が向上し、経済成長につながるとの見解を共有。十倉氏は会談後、記者団の取材に「人への投資と働き方改革を進めることが重要だ」と強調した。
 全労働者の約4割を占める非正規社員の処遇改善が急務だとの声も上がった。芳野氏は「非正規雇用の人たちの賃上げがどれくらいできるかが非常に重要だ」と述べた。
 会談に同席した連合側は、雇用形態の違いによる格差の是正や、最低賃金の引き上げを訴えた。
 会談は十倉氏が1月下旬に財界の訪中団に同行したため、通例の「労使フォーラム」から日程をずらして開催した。
 連合は今春闘で「5%以上」の賃上げを求める闘争方針を掲げ、経団連も理解を示している。
 自動車や電機といった大手企業の労組側は2月中旬ごろ経営側に要求書を提出。3月中旬に集中回答日を迎える。その後、中小企業の回答が続く。